ずっと浮かび続ける鳥! カモの撥水加工技術とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】

カモは自分の脂を羽毛に塗って撥水加工している
防水ボディのヒミツ
池や川で気持ちよさそうに浮かんでいるカモたち。その体が水に沈まないのは、足でこぐ力や羽の形のおかげだけではありません。実はもう1つ、大きなヒミツがあります。
カモは、尾羽の付け根部分にある「尾脂腺」という器官から分泌される脂をくちばしですくい取り、自分の羽毛に塗りつけています。脂で羽の表面をコーティングすることで、水をはじく撥水加工のような効果を生んでいるのです。この脂のおかげで、雨の日でもびしょぬれにならず、冷たい水の中でも体温が奪われることなく行動することができます。
羽毛のすき間には空気もたっぷりと含まれています。水の中でもふわっと浮かんでいられるのは、空気の浮力と脂の防水効果が合わさっているからなのです。
カモたちは毎日せっせと毛づくろいをして、くちばしで羽を整えながら脂を塗り直します。水鳥の羽がいつも整って美しいのは、そうした手入れのたまものでしょう。水に強いその羽には、知られざる工夫と手間がたっぷりと詰まっているのです。
ただ浮かんでいるように見えて、実はしっかり手入れされた「防水ボディ」。水辺のカモを見るときは、そんなひと工夫にも注目してみてください。
水鳥が持つ「尾脂腺」
尾羽の付け根部分にある「尾脂腺」

尾脂腺から出る脂をくちばしですくい取り、羽にこすりつけることでコーティングし、水をはじくようにしている。
尾脂腺はダチョウやエミュー、ヒクイドリなどを除いた多くの鳥類が持っている皮膚腺をさします。水鳥類(ペンギンも含む)でよく発達している器官です。

尾脂腺がある:白鳥、カモ、ペンギンなど
尾脂腺がない:ダチョウ、エミュー、ヒクイドリなど
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
「スグロミツドリは“右半身がオスで左半身がメス”」
「カメは万年、ツルは千年 ツルの本当の寿命は30年」
「おしどり夫婦の由来であるオシドリは普通に浮気する」
「ダチョウは家族が入れ替わっても気付かない」
「ハゲワシがハゲているのは、ちゃんとした理由がある」などなど
そんな鳥たちの意外な生態や知られざる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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