タツノオトシゴは超多産! なのに絶滅危惧種なワケ【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


メスではなくオスが2000匹出産
世界で一番泳ぎが遅いといわれている魚「タツノオトシゴ」。あらゆる魚類の中でも、とてもユニークな姿をしています。頭部にはキリンの角のようなトサカ、口は長い管のように突き出し、体はワニのようにゴツゴツしていて、まるで虫のよう。ぷっくりと膨らんだおなかもチャームポイントのひとつ。その見た目から、ヨーロッパではカニとヒトデの中間の生き物、江戸時代の日本では虫だと考えられていました。
また、タツノオトシゴは縦に泳ぐことで知られていて、まるで小さなドラゴン。姿から泳ぎ方まで、魚らしくない魚なのです。
おっとりとしたイメージのタツノオトシゴですが、獲物を補らえる瞬間だけは1秒間に身長の500倍の距離を進む瞬発力を発揮。成功率は90%以上と、狙った獲物は逃しません。
さらに、タツノオトシゴといえば、ヒレとヒレを絡ませるかわいい求愛ダンスが有名です。愛のダンスは三日三晩続き、メスはオスのおなかのポケットに卵を産みつけます。オスはおなかの中で卵を育て、タイミングを見計らって一回に2000匹の赤ちゃんを出産。しかし、大人になるまで生き残るのはわずか10匹ほど。高級漢方の原料として乱獲されてきた歴史も相まって、現在タツノオトシゴの一部は絶滅危惧種として登録されているのです。
オスが「出産」と「育児」を行う
①三日三晩続く「求愛ダンス」

②オスのおなかで子育て

③オスが2000匹出産
タツノオトシゴと同様に「ヨウジウオ」の仲間は、オスのおなかに「育児のう」という子どもを育てる器官が存在する。

④生き残るのはわずか10匹

⑤一部が絶滅危惧種に指定
ホワイツ・シーホースなど、一部の種が絶滅危惧種に指定。しかし、現在も強壮薬として漢方や薬膳に使われている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
「クジラ界にも「ヒット曲」があり、世界中の海で流行る」などなど
そんな魚のあらゆる疑問や意外な生態、誰かに教えたくなる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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