8種のうち2種もいる! 日本にいる野生のクマはどこにいる?【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】


日本にいる野生のクマは、ヒグマとツキノワグマの2種類
うまく生活圏をすみ分けている
クマ科の仲間のうち、日本にいる野生のクマはヒグマとツキノワグマの2種類だけです。ヒグマは北海道に、ツキノワグマは千葉県を除く本州全域と四国の一部にすんでいます。小さな島国である日本に、8種類のうち2種類の野生のクマが暮らし、その生活圏をすみ分けているのはかなり珍しいことだといえるでしょう。
ヒグマとツキノワグマは同じクマ科でありながら、その生き方やたたずまいにははっきりとした違いがあります。体のサイズひとつとってみても、ヒグマはオスで体長2m超、体重300kg以上にもなる日本最大級の哺乳類です。一方のツキノワグマは、体長1.2〜1.5mで体重は60〜150kgほど。ヒグマの半分以下の体格しかありません。
両者は性格も異なります。人の気配を感じると身を隠すほど警戒心が強い半面、追いつめられると非常に攻撃的になるヒグマに比べ、ツキノワグマは臆病で人との接触をなるべく避ける慎重な性格をしています。
ともに雑食性ながら、サケを捕まえ、昆虫なども口にするヒグマはややガッツリタイプ。一方、木の実や果実がメインのツキノワグマは草食タイプと、食事の好みも異なります。狭い国土をうまくすみ分けられる理由も、こうした性質の違いにあるのかもしれません。
日本におけるクマの分布

適した場所で、それぞれのスタイルを貫いて生活するヒグマとツキノワグマ。生態の異なる2種類のクマを受け入れる、日本の自然の奥深さが見えてきます。
ヒグマ
ユーラシア大陸や北アメリカ大陸から、樺太を経由して北海道にわたってきました。その時期の違いから、道南地方、道東地方、道央・道北で異なるグループを形成しています。
ツキノワグマ
今から30万〜50万年前、朝鮮半島と日本列島が陸続きだったころに朝鮮半島から九州に移動。その後、本州・四国の広範囲にわたって生息域を広げていきました。
ヒグマとツキノワグマの違い

クマなど四足動物の体長は、頭の先から尾の先までの長さをさします。したがって、直立時はより大きくなります。
ヒグマの特徴
肩が盛り上がり、全体的にがっしりした体型をしている。基本は植物食だが、魚のほか、昆虫やシカの仔も食べる。警戒心が強いが攻撃的になることもあり、出会ったときの危険性は高い。
ツキノワグマの特徴
中型のクマで、胸に白い三日月形の模様があるのが名前の由来。食性は木の実や葉、花、山菜など植物が中心。おとなしい性格で、興奮させなければ人を見てもたいていは逃げる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司
世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物です。
しかし、ペットとして飼うことは難しく、ときに人を襲う恐ろしい側面も持ち合わせるクマ。
それなのになぜ人間にとって馴染み深く身近な存在に感じるのでしょうか。
「クマは大体力士2人分の重さ」「死んだふりは意味ある?クマに出会ったときの対処法」
「ホッキョクグマは皮膚が真っ黒で毛が透明?」「年々増加している“新世代クマ”って!?」
「イエティとビッグフットの正体はクマ?」
愛玩動物、猛獣、食用、ワーキングアニマルなど、さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫ります。
これを読めばクマのことがもっと好きになること間違いなしの一冊です。