パラケラテリウム
史上最大の陸上哺乳類は角をもたないサイ
新生代に入ると、中生代末の大量絶滅を生き抜いた哺乳類から多様な種が誕生します。そのなかには史上最大の陸生哺乳類もいました。古第三紀の漸新世(約3400万年前から2300万年前)のユーラシア大陸に登場したパラケラテリウムとうサイの仲間です。
パラケラテリウムの体長は約8メートルで、肩の高さは4.5メートル。
長い首をもち上げるとキリンよりも高く、7メートル近くに達します。そうして高い木の枝や葉を食べていたのでしょう。体重は6トンから20トンと推察されています。
このころの地球環境は、気温が高く世界中にジャングルが広がり、哺乳類がさまざまな場所に進出しました。
漸新世になると気温が下がり乾燥していくなかで、ジャングルが広葉樹林に変わっていきます。この大きな樹木がパラケラテリウムのエサとなっていたのです。
パラケラテリウムが属するヒラコドン類は、現在のサイの祖先と考えられているヒラコドン(古第三紀始新世に登場)の仲間です。
現在のサイ類のような角質のツノはもっていません。脚が細いことから、速く走ることができるのが特徴です。
そのため同じ奇蹄類に属するウマにちょっと似て見えるかもしれません。
実際、ヒラコドン類の仲間は「走るサイ」と呼ばれることもあります。
ヒラコドン類はその後絶滅してしまいましたが、ヒトラドン類と姉妹関係にあるサイ科は現在も生息しています。
巨体でも高速で走れたパラケラテリウム
パラケラテリウム
新生代 古第三紀漸新世
哺乳類 有胎盤類 奇蹄類
サイ類 ヒラコドン類
体長約7.4メートル 肩高約4.8メートル
大きいと暑い
アフリカゾウ タテゴトアザラシ
体が大きい程、体熱を逃がしづらいので体温が上がりやすい。現代のアフリカ象は巨大な耳で体の表面積を増やして熱を逃がしているし、タテゴトアザラシは、寒い海でも体表面から熱が逃げないように工夫している。パラクラテリウムはどのように暮らしていたのだろう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』代表監修:大橋 智之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
代表監修:大橋 智之
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公開日:2025.03.20
