すぐ気が散ったり、ボーッとしたりする
毎日の園生活で行う着替えや支度などが、なかなか自分で進められません。ぼんやりしていることが多く、ほかの子に後れを取ってしまう場面がよく見られます。
例えば、こんな状況
外遊びが終わった後、お着替えの時間になりました。Bちゃんは、自分の服が入ったカゴを手に持ったものの、着替え終わって遊んでいる子たちの方を見てボーッと立ち尽くしています。
あなたならどうする?
1.「まずはここに座って、靴下を脱ごう」と声をかける
2.「Bちゃん遅れているよ、早く早く!」と急がせる
【解説】おすすめは1!
子どもを焦らせることで、かえって集中力や意欲を削いでしまう可能性もあります。「遅れている」という事実を指摘するよりも、次にやるべきことを具体的に示し、実行を促してあげる方が望ましいでしょう。また、言葉かけに加えて、環境面からのサポートが有効なケースもあります。
考えられる背景
「どうやって着替えるんだっけ、思い出せないなぁ」
大人の目には「ボーッとしている」ように見えても、子どもの頭の中ではさまざまな思考が駆け巡っているかもしれないと考えてみましょう。
こんな声かけ&サポートをしてみよう!
その子が苦手なプロセスを丁寧に支援
身の回りのことは、具体的な手順を何度も繰り返し伝えて、少しずつ覚えてもらいましょう。
特にどのプロセスが苦手なのかを把握し、その子に合った支援ができると理想的。望ましい行動を褒めることで、子どもに「できた!」という手ごたえを与えることができます。途中でやり方を変えると覚えにくいため、園内で手順を統一するか、その子ならではの情報を共有しておきましょう。
考えられる背景
「あ、おともだちがブロックで遊んでる!私もやりたいなぁ」
着替えようという気持ちで動き出したけれど、ほかに気になる刺激が入ってきたことで、そちらに気を取られてしまったのかもしれません。
こんな声かけ&サポートをしてみよう!
刺激を減らし、集中しやすい環境を整える
一般的に、子どもは4歳頃から「選択的注意力」が付いてきて、周囲の動きや声に気を取られず、自分が取り組んでいることに集中できるようになるといわれています。
こうした力がまだ十分でない子には、不要な刺激の量を減らすことも一つのアイデア。例えば、ほかの子が遊んでいる様子やおもちゃが目に入りづらい場所で着替えさせるといった、動線の工夫などが考えられます。
ほかにもたくさん!サポート声かけ例
・「初めは〇〇をして、次は△△だよ」
・「〇〇ができたね、次は△△をやってみよう」
・「一人でできたね」
・「これでいいよ」
【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史
【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史
幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
公開日:2024.06.08