「企画を進まさせていただきます」ってヘンです
自分が提出した企画に上司のOKが出て、いよいよ具体的にスタートしたとします。
「うまく進めてくれよ」という上司の励ましに、
「はい、早速、進まさせていただきます!」
意欲をみなぎらせたつもりが、 上司の表情に怪訝さが……。その胸の内を察すれば、「敬語もまともに使えないで、先方との交渉は大丈夫かな?」という思いがきざしたということでしょう。
「させていただく」は正しい。しかし、「進む」に「させていただく」をつけるのは具合が悪いのです。どう言うべきでしょう。
「進ませていただきます」
が正解です。両方の違いは「進む」に「させる」をつけるか「せる」をつけるかです。どちらも「他人にある行為をするようにしむける」場合や「ある行為をすることを許す」場合に多く使われるのですが、自分の行為を許すという意味で使うと、相手に対する敬意を表すことになります。
「進まさせていただく」という表現は、使役を表す助動詞「せる」に、「さ」を入れた言葉で、「さ入れ言葉」とも呼ばれます。
もちろん「させていただく」という言い回しがすべて間違いというわけでありません。「着させていただく」や「勉強させていただく」のように、敬語として問題ない使い方もあります。 いずれにしろ、 「~させていただく」という言い回しには注意が必要でしょう。
また、 このケースでも 「進む」 ではなく 「進行」や「進める」を使って、ただきます」 「進めさせていただきます」なら正しい敬語になります。
間違えやすい「さ入れ言葉」
間違い敬語
行かさせていただきます、つくらさせていただきます、休まさせていただきます
正しい敬語
行かせていただきます、つくらせていただきます、休ませていただきます
「~させていただきます」がOKな場合
来させていただきます/着させていただきます/進めさせていただきます/検討させていただきます など
【出典】『 頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二
【書籍情報】
『 頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二
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公開日:2024.08.05