プロ入り後、上位指名選手をごぼう抜き!?ドラフト下位指名からの下克上列伝
実力勝負のプロ野球の世界。スタートラインさえ違えど、己の体ひとつで成り上がった元隠し玉たち。ドラフト指名時にはあまり知られていなかったが、チームの主力に成り上がった男たちの下克上を紹介したい。
先発もリリーフもできるマルチな王道サウスポー
【岩崎優/阪神タイガース】
2013年ドラフト6位
阪神の守護神を務める岩崎優もドラフト6位指名での入団。東都2部の国士舘大では先発とリリーフの双方で活躍し、52試合で10勝8敗、防御率1・75の好成績を記録した。
下位指名になった要因のひとつには、主戦場が2部ということも挙げられるが、今の岩崎からもわかるように飛び抜けた球速があるわけではなく、技巧派だったこともあるだろう。左腕の王道とはいえ、球速130キロ台の左腕がプロの舞台に対応できるかは見極めが難しい。
最終的には調査書が届いたのは2球団。阪神は球速の割にストレートで三振が取れていたこと=球持ちの良さを評価し、そこが決め手になった。逆に捉えれば、スピードとコントロールの狭間で悩むことのないタイプ。
岩崎は自分の投球を貫くだけだった。1年目から先発で5勝4敗と結果を残し、4年目にはリリーフ転向。淡々と仕事をこなし続け、ついには守護神に登り詰めた。
「天性の球持ち」。長所を生かし続けたからこそ、岩崎は静かなる下克上を達成できたのだ。
出典:『がっつり! プロ野球(32)』
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公開日:2022.10.31