球界のリトルスラッガー列伝
コイツら、小さな体でタダモノじゃない!
プロ野球界を代表するスラッガーは「見た目」からして常人離れしている選手がほとんど。しかし現在、日本人の平均身長程度ながら驚異の打棒を誇る「小さな大打者」が球界を席捲しつつある!
チーム待望の強打者候補!今季はさらなる飛躍を!
茂木栄五郎/東北楽天イーグルス
●身長171cm
身長171センチ、体重75キロ。ポジションはショートストップ。主な打順は1番。プロ1年目の2016年にはルーキーながらレギュラーを勝ち取り、シーズン11盗塁を記録。一見すると、俊足巧打の典型的な「リードオフマン」タイプに思える茂木栄五郎。しかし、その最大の魅力は俊足でも、プロ入りから2年続けてレギュラーを守り続けたショートの守備でもなく、「長打力」にある。プロ2年目の昨季は開幕から1番ショートの座に君臨。小さな体からは想像できない「強いスイング」で本塁打を量産。2番ペゲー口と「超攻撃的1、2番コンビ」を形成し、前半戦の楽天快進撃の立役者となった。故障による途中離脱も経験したが、終わってみればチーム日本人最多の17本塁打。楽天の生え抜き選手によるシーズン2ケタ本塁打は、球団創設8年目にして初めてのことだった。
通常、リードオフマンといえば塁に出て、足でかき回し、チームの得点をサポートするというのがスタンダード。茂木栄五郎のような小柄選手であればなおさらだ。しかし、茂木栄五郎本人は自身を「そういうタイプではない」と断言する。あくまでも意識するのは強く振ること、ボールをしっかりと捉えること。出塁することは大前提だが、そこからさらに二塁打、本塁打とどん欲に長打を狙っていくスタイルを貫いている。その結果が、2017年のシーズン17本塁打につながっている。もちろん、リードオフマンとして最大の仕事である「出塁」も疎かにはしていない。2017年の打率.296は秋山翔吾、柳田悠岐といった首位打者経験者に次ぐリーグ3位。出塁率.370もリーグ6位、チームではトップの数字だ。創立13年目にして茂木栄五郎が初めて生え抜き2ケタ本塁打を達成したことからも分かるように、楽天というチームは慢性的にスラッガー不足に悩まされ続けてきた歴史を持つ。これまでは山崎武司やジョーンズ、マギー、昨季でいえばペゲーロ、ウィーラー、アマダーといった移籍組や助っ人外国人でその弱点を補ってきたが、長いスパンで考えた時、若い生え抜きの強打者の出現は悲願だ。15年間でリーグ優勝1度を含むAクラス4度。楽天が黄金期を築くためには、茂木栄五郎という「起爆剤」の活躍が不可欠だ。
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公開日:2020.06.03