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プロ1年目から4年連続最多勝&奪三振王を獲得した野茂英雄の魔球『フォークボール』

Text:西沢 直

プロ野球界『伝説の魔球』列伝

プロもうらやむ伝家の宝刀!この球を投げられたら絶対に打てない、打たれない。あまりの変化にバットが虚しく空を切る。人間離れした変化球。リスペクトをこめて、人はそれを「魔球」と呼ぶ…。

直球とフォークだけで

驚異の奪三振率

●野茂英雄/近鉄バファローズ,ロサンゼルス・ドジャースなど
【魔球その5:フォークボール】

近鉄時代はデビュー以来4年連続最多勝&奪三振王、メジャーでも2度の3年連続2ケタ勝利&奪三振王という記録を残した野茂英雄。通算201勝、3122奪三振。これだけの結果を残せたのも、野茂英雄を象徴する魔球のおかげといっても過言ではない。それが、フォークだ。まるでストレッチでもするかのように両手を天に突き上げて胸をはり、打者に背中を見せるように腰をひねってから投げ下ろす。このトルネード投法から繰り出されるフォークに打者たちは翻弄された。スピードは130キロ前後。決して速くない。むしろ遅いくらいだ。それでもバットが空を切るのは、直球とほぼ変わらない軌道を描きながら、打者の手前でストンと落ちるからだ。このフォークを武器に、野茂英雄はドクターKと呼ばれるようになる。通算奪三振率は9.28。キャリア通算で1イニングに1つ以上の三振を奪っていることになる。ノーラン・ライアンやランディ・ジョンソンらに並び称されるに足る記録だ。野茂英雄をそこまでの選手にしたのは、たったひとつの武器フォークという魔球だった。

 

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