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周東佑京だけじゃない!プロ野球で活躍する東農大オホーツクOBとは!?

Text:高木遊

氷点下20℃の網走から人をプロ入りさせた大学とは!?~東農大オホーツク流プロ野球選手育成法~

日本の最北端からNPBへ16人もの選手を送り込む東農大オホーツク。なぜ、そこまで選手が育つのか――。その秘密に迫る!

周東佑京だけじゃない!プロ野球で活躍する東農大オホーツクOB

現在プロ野球で活躍する飯田優也、玉井大翔は高校時代にエースはおろか3番手で公式戦の登板はほとんど無かった投手だ。それでも飯田は「体は細いけど球持ちが良く、打ちにくいストレートを投げている、玉井は「スライダーのキレがすごいしストレートも悪くない」と長所を見いだして獲得。

ともに1年春から実戦でチャンスを与え、場数を踏ませることで自信と課題を見つけさせることで成長力を高めて、高校時代からの下克上を後押しした。

 

そして、「こいつだ!」と決めた選手の元には何度も足を運ぶ。周東は付属校である群馬の東農大二高の選手だったが、1年生の時点で周東の走る姿に一目惚れ。3年生になった頃には各強豪大学だけでなくプロ球団も視察に訪れるほどの選手だったが、是が非でも獲りたい選手。加えて、まだ体の線も細く、攻守ともに鍛えてからプロに進むべきだと感じただけに毎週のように北海道から群馬に通った。当時の周東自身は周囲の評価とは裏腹にプロ野球選手になれるとは思っていなかったが「俺が4年後、絶対にプロに行かせてやる」と語りかける樋越監督の熱意に打たれ、東農大オホーツクへ進んだ。

その決断に応えるように、樋越監督は周東を年春から起用。内野手には良い上級生がいたため外野手で起用。フル出場でたくさんの打席を立たせたいという親心だ。上級生になってからは内野手に戻すなど、現在の内外野守れるユーティリティーさは大学時代の経験が大きいだろう。足についても盗塁は「ノーサインでも走ってよい」と積極的に試みるように仕向けた。打撃も足が速いからといって内野安打狙いの走り打ちなどはさせず、上の世界でも通用するように「しっかり振れ」「体を大きくしろ」と説き続けた。ここに本人の努力も加わり育成ドラフトながらソフトバンクに指名されると、2年目以降の活躍は誰もが知るところだ。

ヤクルトで2軍バッテリーコーチの福川将和、中学野球の強豪・東練馬リトルシニアで監督の徳元、ソフトバンクでファーム担当スタッフの樋越優一(長男)、スカウトの稲嶺ら野球に携わり続ける者も多く、人間育成にも長けていることが分かる。凍てつく冬、厳しい練習と環境。OBの誰もが言う「もうあの4年間には戻りたくない」と。一方でこれもまた誰もが言うことだ。「あの4年間がなければ、今の自分はない」。

出典:『がっつり! プロ野球(29)』

『東農大オホーツク流 プロ野球選手の育て方』
著者:樋越勉

多くのプロ野球選手を輩出する北の最果て、北海道網走市にある東京農業大学オホーツクキャンパス野球部。恵まれた施設環境ではないにも関わらず、なぜ有力選手が育つのか⁉東農大学野球部のカリスマ、樋越監督の選手を見抜く眼力と、その育成術を紹介‼プロ野球選手の育て方、ドラフトへ送り込む手腕、練習環境の整え方などを、具体的に解説するプロ野球ファンや指導者必見の一冊。愛弟子の周東佑京のコメントも収録。