東京五輪 バレー男子3位決定戦のレポート
南米のライバル対決をアルゼンチンが制し、銅メダルを獲得 ブルーノ主将「夢に描いたメダルは得られませんでした。でも責任感を持って、これからも前に進んでゆきます」
サッカーはじめ、あらゆるスポーツにおいて最大のライバルであるアルゼンチンとブラジル。2000年のシドニー五輪準々決勝でアルゼンチンが勝って以来、常にブラジルの後塵を拝していたアルゼンチンであったが、3位決定戦で3-2でブラジルを下し、銅メダルを獲得した。
■3位決定戦 アルゼンチン3-2ブラジル
(25-23、20-25、20-25、25-17、15-13)
第1セットはアルゼンチンのセッターがうまくブラジルのブロックを振り、中盤から3、4点のリードを保つ。ブラジルはMBマウリシオ・ソウザやOPアラン・ソウザのスパイクで1点差に詰め寄るが、最後はアルゼンチンのスパイクが決まる。第2セットは逆にブラジルが点差を保ち逃げ切る。第3セットはアルゼンチンがリードするが、10-10、16-16、とブラジルが何度も追いつき、終盤はブラジルのOPワラセ・デ・ソウザ、MBルーカス・サアットカンプのスパイク、ブロックでしめ、セットカウント2-1とする。
第4セット5-5となったところで、アルゼンチンのSルシアーノ・デ・セッコが足を痛める。わずかな間、試合が中断するが、この間合いを境にブラジルのミスが増え、アルゼンチンに勢いが出る。ブラジルのスパイクミス、被ブロックが続く。アルゼンチンはトス回しが冴え、ブラジルのブロックが振り回される。ブラジルのサーブミスで、決着は最終セットにもつれ込む。前のセットの流れがそのまま出て、序盤はブラジルにミスが目立つ。交代で入ったOPアランがサービスエース、キレのいいスパイクを見せる。13-13に追いつくが、アルゼンチンのパイプ、ブロックで15-13となり、セットカウント3-2でアルゼンチンが勝利した。
決勝戦の常連だったブラジルは、負ければメダルなしという経験が少ない立場にプレッシャーを感じたのかもしれない。しかし、それよりも五輪中に大きく成長したように見えるアルゼンチンが、自信にあふれ勝ち取った勝利であった。
■試合後のコメント(FIVB、CBVのインタビューより)
アルゼンチン、MBアグスティン・ロセル:この試合で、自分では7本ブロックができました。(注:試合全体のブロック数はアルゼンチン17本対ブラジル10本)忍耐がカギだったと思います。ブロックタッチをたくさんとって、必死にレシーブしたことが、重要なポイントでした。しかし、それは何年も、おそらくここ5年位の間に我々のディフェンスを強化した結果だと思います。何年もの過程のすべてが、この大会でのいいパフォーマンスにつながりました。
ブラジル、レナン・ダルゾット監督:アルゼンチンの優れたところを全く対処できませんでした。ゲームの内容がとても濃く、その流れを止めるのは難しかったです。今日は、自分たちが劣勢になった時に、自分たちのいいバレーをすることができませんでした。
ブラジル、Sブルーノ・レゼンデ:銅メダルのチャンスを逃してしまいましたが、それはアルゼンチンの方が上回ったからだと思います。自分たちは普段よりたくさんのミスをしてしまい、彼らは明らかにより良いパフォーマンスでした。第5セットは、自分たちの不安定なところを話したんですが、彼らはより忍耐強くボールを上げ続けました。
取材:ブラジル在住 唐木田 真里子
写真提供:FIVB
情報提供『バレーボールマガジン』
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公開日:2021.08.08