その「アダルト情報」はリアル?フィクション?
ネットを見ていると、アダルトサイトやエッチなマンガ、動画などの広告が目についたことはないでしょうか。
結論からいうと、こういうものは、つくりものの世界。つまり「フィクション」や「エンターテインメント」です。見た人を楽しませるためにつくられたもので、現実の人の気持ちや行動、状況とは一致しないことも多くあります。
よくあるのが次のこと。
- 男性がリードすべき
- 強引にいくほうが、女性は好き
- 女性がいう「イヤ」は、本音ではない
- 女性がセックスをしたいときには、サインがある
- 避妊をしないでセックスをするほうが気持ちがいい
これらは全部フィクションと思ってよいでしょう。
このようなフィクションを現実と取り違えて、まちがった知識で恋愛や性行為をする人もいます。自分がイヤだと感じたら「イヤだ」と否定をし、その人から離れるようにしましょう。これは、女性だけではなく男性でも同じです。
【デートDVの例】
- こまめすぎる連絡、行動を監視される
- デートでの出費を支払うように強要される
恋愛中は、あまりまわりが見えなくなるものです。恋愛中のカップルによくあるのが、デートDV。連絡をこまめにするようにいわれたり、行動を監視されたり、デートでの出費を支払うようにいわれたり、性行為を強要されたり。これは、心や体への暴力といえます。相手を自分に従わせよう、束縛しようとしてしまうのは、相手のことを大切に思っているとはいえません。
好きな相手がいうことだから正しい、間違っていないと思いがちですが、本当にしうでしょうか。他の人から見ると、それは違うんじゃない?と思うようなことかもしれません。
少しでも「ん?おかしいな。これはイヤだな」と思うようなことがあったら、拒否したら嫌われるかもしれないという不安に負けず、「こういうことは、されるのはイヤだ」と伝えてみましょう。
それでも相手が変わろうとしなかったり、相手が怖いと感じるようになったら、信頼できる大人に相談しましょう。
ニュースなどで耳にする「性暴力」」「性被害」。同意のない性行為、性器や裸の写真を送らされる、胸を触られた、服を脱がされた、裸にさせられて写真を撮られた、ストーカー被害にあったなどという事態は性暴力や性被害にあたります。
自分が望んでいない、同意していないのにされたら、それはすべて性暴力です。性別も年齢も関係なく、被害にあうことがあります。被害を受けた人は決して悪くありません。
知り合い、知らない人などどんな相手でもあってはならないことです。
もしそんな被害にあってしまったら、ひとりで悩まずに、信頼できる大人に相談しましょう。相談できる専門の機関もあります。
アダルトサイトやAV(アダルトビデオ)を見たり、テレビや雑誌でかっこいい俳優さんを見て「筋肉がついたかっこいい男性にならないとモテないんだ」「大きいペニスじゃないと、男性としてダメなんだ」と思ってしまう人もいます。
コンプレックスを感じて落ち子み、恋愛や人生に悲観的になってしまうこともあります。「太っているし、筋肉もない。顔もかっこよくない……そんな自分は恋愛をする資格がない」と思いこんでしまい、いきすぎた筋トレ、ダイエットなどをして、体を壊してしまうこともあります。
そもそも思春期は成長途中。無理な筋トレやダイエットをすると、体の成長に影響が出てしまう可能性もあります。
コンプレックスを前向きに考える方法
- ありのままの自分を受け入れる→まるっと自分を認めてみよう。また、誰かのありのままを受け止めてみよう
- 他の人と比較をしない→人は人、自分は自分。比較したところで、みんな同じじゃない
- コンプレックスだと思うところを改善してみる→原因がわかっていることなら、改善をこころみる
- 自分のいいところを、高める→そこが自分の魅力になるかも
- 信頼している人にほめてもらう→信頼している人からの言葉の効果は大きい
多くの人が何かしらのコンプレックスを感じているものです。体型のこと、容姿のこと、学歴のこと、家庭環境のことなど悩みは人それぞれ。あなたが思うかっこいい理想の俳優さんだって、コンプレックスがあるかもしれません。
コンプレックス感じずに、「ありのままの自分を受け入れること」「他の人と比較しないこと」「自分のいいと思うところを、もっと高めてみる」などの思考にチェンジするよう心がけるだけでも変わります。
それに、多くの人にモテようと考えなくてよいのです。大切なのは、自分に合う相手を見つけること。相手のありのままを受け止められる人が、ありのままの自分を受け入れてもらえる人なのです。人に「選ばれなければならない」と思う必要はなく、「そのままのあなたがいい」といってくれる相手を自分で選ぶことが大切です。
ONE POINT
- デートDVも性暴力のひとつ
- アダルトサイトなどはフィクション。現実と混同しないこと
- コンプレックスを前向きに考えよう
【出典】『12歳までに知っておきたい男の子のためのおうちでできる性教育』著: 高橋幸子
【書籍情報】
『12歳までに知っておきたい男の子のためのおうちでできる性教育』
著:高橋幸子
男の子の「気になっているけれど、面と向かっては聞きづらいこと」パパママの「どうやって伝えたらいいかわからないこと」にこたえます!これから思春期を迎える男の子、思春期の入り口に立った男の子が知っておきたい「性の知識」をわかりやすく紹介。マンガ・イラスト図解・全編フリガナつきの読み物で、子どもひとりでも、家族でも読める1冊です。学校では教えてくれない、パパやママも伝え方がわからない、
・これから起こる体の変化と対応法
・家族や友達との距離感が変化し、心にも変化が訪れたときの対応法
・SNSや友達同士の噂に惑わされないための正しい「性の知識」の身につけ方
・体と心の変化に困ったとき、悩んだときの相談先の見つけ方
などを解説。
性教育は子どもを守るだけでなく、子どもの自己肯定感をも高めることができます。誰しも体や心に「境界線」をもっていることを学ぶので、自分も人も大切にできる・人と心地よい関係を築けるようになります。著者は、産婦人科医のサッコ先生こと高橋幸子先生。全国の小学校・中学校で性教育の講演を行ない、子どもたちの多くの質問に答え続けている高橋先生の、科学的にわかりやすく伝えるコツも満載です。
公開日:2024.08.30