Q 地球を生命の星にした植物は?
A シアノバクテリアが起こした奇跡が生命の繁栄をもたらした
地球の誕生は46億年前、生命の誕生は38億年前と考えられています。最初の生命は栄養分が豊富な水たまり(当時の沼、海など)で生まれ、進化していきました。
当時の地球の大気は、二酸化炭素ばかりで酸素は1%もありませんでした。最初の単細胞生物は、酸素を必要としない細菌類でした。
そしておよそ27億年前に光合成をするシアノバクテリアという細菌が発生しました。無数のシアノバクテリアがつくる酸素は海を出て、徐々に大気中に拡散されました。こうして6億年前にはオゾン層が形成され、さらに4億年前には、大気中の酸素濃度は十分に高くなりました。
この間、海では藻類、甲殻類、魚類などの生物が大量に発生しています。光合成をする緑藻類のなかまは、陸上植物の直接の祖先となりました。
緑藻類がなんらかの環境的な原因で海に戻れなくなり、その一部が陸地に適応し、陸植物の祖先になったと考えられています。
最初の植物が上陸すると、コケ植物、シダ植物、裸子植物、被子植物とだんだん高等植物へと進化しました。植物のあとを追うように、海から甲殻類や魚類も続々と上陸しました。甲殻類は昆虫へと進化し、魚類はやがて、両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類へと進化しました。
植物と動物との関係は4億年以上前から始まりました。植物を追って海などから動物も上陸したからです。
最初の恐竜は、2億5000万年前の三畳紀に現れます。そして1億6000万年前のジュラ紀の終わりに、花を咲かせる被子植物が誕生しました。昆虫と被子植物の幸せな関係が始まったのです。
地球の酸素をつくったバクテリア
27億年前 シアノバクテリアが光合成をはじめる
6億年前 オゾン層が形成される
植物の上陸は、約5~4億年前。最古の植物は、高さ数センチメートルの植物だったとされている。
植物は、基本的に光と水と二酸化炭素があれば育つが、ヒトを含む動物は、植物が作り出す栄養物なしでは生きていけない。植物の祖先がつくった酸素は、生物を繫栄させた。
植物の誕生から上陸まで
葉緑体をもたない真核細胞にシアノバクテリアが取り込まれ、光合成をする真核細胞が生まれた。
このサバイバル術がすごい!
植物の祖先は、酸素を生成し生物がどこにでも住めるような環境づくりを数十億年にわたり行ってきた。その結果、植物が陸上に進出し、次いで動物が進出した。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋
シリーズ累計300万部突破の大ヒット「眠れなくなるほど面白い」図解シリーズに、【植物学】が登場!
色仕掛け、数学の応用など、生き残りをかけた植物のたくみな戦略を徹底解説。
図とイラストで、ひとめで植物の生態としくみがわかります。
読めば、「ふだん見かけるあの植物に、そんな秘密が!?」と驚くはず。
「花の女王はバラ、では雑草の女王は?」「なぜ夏の木陰はヒンヤリするのか?」
「昆虫と植物は必ずギブ&テイクの関係なのか?」「植物は数学を知っている?」
「じつは、植物によって光合成のしかたが違う?」
など身近な疑問から、花粉を運ばせるための昆虫だましテクニック、
一歩踏み込んだ光合成のしくみまでわかりやすく紹介します。
監修は、植物学者・静岡大学教授の稲垣栄洋先生!
植物たちの巧みな戦略とたくましい生き様が見える一冊です。
公開日:2025.02.16
