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最新理論&トレーニングで最速150km投手が激増!?高校野球界にも訪れる投手高速化の波とは!?【高校野球近未来予想図】

高校野球近未来予想図

〜最新トレンドから導きだす5年後、10年後の世界〜

最新理論&トレーニングで最速150キロ投手が激増!?

高校野球界にも訪れる投手高速化の波とは!?

メジャーリーグ、プロ野球、高校野球問わず、野球界は今、もの凄いスピードで進化を遂げている。

その最大の理由がラプソード、トラックマンなどに代表されるトラッキングデータの導入だ。

トラッキングデータとは、投球や打球の速度だけでなく、投球なら回転数、回転軸、変化量、打球なら打球角度や弾道までを「数字」で可視化できるデータのことを指す。

熱心な野球ファンであれば近年、メジャーリーグや日本のプロ野球界にこれらトラッキングデータが導入されていることを感じているはずだ。

トップ選手で言えば、ダルビッシュ有(パドレス)、千賀滉大(ソフトバンク)などがその代表例。特にダルビッシュはポータブルトラッキングシステムのラプソードを活用し、自らの投球データをツイッターなどでも発信。さらにはそのデータをどうやって投球動作に落とし込んでいるかまで公開している。


SNS隆盛の現在、情報に敏感な高校球児が、それに飛びつくのはいたって普通の流れだ。

達孝太(天理)などはチームではなく個人でラプソードを購入し、自らの投球データを事細かにチェックしながら技術向上に役立てている。


達のように「個人」でトラッキングデータを活用するケースはさすがに稀な例だが、チーム単位でデータを日々の練習、トレーニングに落とし込んでいる高校は年々増えている。

たとえば武田(広島)は平日分間の練習で昨夏の広島独自大会ベスト4に進出。2019年ドラフトでは最速152キロ右腕・谷岡楓太がオリックスに育成指名され、プロ野球選手も輩出しているが、これも「データ」を活用して効率よく練習、トレーニングを行った結果だ。

東日本で言えば神奈川の立花学園が先進的な取り組みをしていることで知られる。両校とも、ラプソードなどを上手に活用し、それを投手、野手のトレーニングに生かしながら選手のレベルアップを図っているのが特徴だ。

また、近代野球界のトレンドは「データ」だけではない。特に投手において重視されるようになってきたのが「フィジカル」だ。

ひと昔前まで、投手の指導・トレーニングと言えば「走り込み」と「投げ込み」が主流だった。

投げる技術を向上させるために必要なのはフォームを固めることであり、その土台となるのが下半身の安定。この理論は古くから野球界に根付いており、いまなお実践している指導者・選手は多い。

しかし、近年の野球界では「投手にもフィジカルトレーニングが必要」という考え方があたりまえになりつつある。特に、投球動作に関連するような瞬発系のトレーニングは、投手の「球速」に直結すると考えられている。

メジャーリーグやプロ野球界で投手の平均球速が年々向上している背景には、投手がこれまでの「投げ込み」だけでなくフィジカルトレーニングを多く取り入れたことがある。

高校野球界も同様だ。以前は「球速は才能」という考え方もあったが、データを活用し、正しいトレーニングをおこなえば一定レベルまでの球速アップは可能と考えられるようになった。

現在の高校野球では「140キロ」が決して珍しくなくなってきた。140キロ以上を計測する投手を複数擁する高校も増え、投手の高速化はとどまることを知らない。


もちろんトラッキングデータについては設備の導入はもちろん、その「使い方」も重要になってくる。最新の機器が揃っていたとしても、それをあつかう側に知識がないと宝の持ち腐れになってしまうからだ。

そこで必要となってくるのが、データやトレーニングに精通した「プロフェッショナル」の存在。

武田ではメジャーリーグでトレーナーとしての経験を持ち、現在はオリックスの山岡泰輔などが師事する高島誠氏がデータの活用から日々のトレーニングを見ているし、日本航空もインディゴコンディショニングハウス代表で教え子の多くをプロに輩出している殖栗正登氏に指導を仰ぐなど、外部から積極的に「プロの目」を取り込んでいる。

こういった状況を考慮して高校野球の今後を占ったとき、いったいどのような「近未来」が浮かび上がるのか。


ここまで紹介してきた最新の「データ活用」「トレーニング」を実践している高校の多くは、いわゆる「甲子園常連校」ではない。武田にしても立花学園にしても、過去に甲子園出場は一度もない。両校の現在の立ち位置はあくまでも「県内の新興勢力」だ。

しかしこの流れは、ある意味当然ともいえる。甲子園に出場し続ける強豪校には過去の成功体験がある。新しいことに取り組まずとも、これまでのやり方で結果を残し続けているのだから、「変化」の必要がないのだ。

一方で武田、立花学園のような新興チームは、いわゆる「強豪校」と同じ取り組みを行っていても甲子園はなかなか近づかない。

中学時代に実績を残し、才能にも、フィジカルにも恵まれた有望選手の多くは前者である強豪校に進学するからだ。

強豪と呼ばれる高校に対抗するためには、彼らと違った取り組み、新しい取り組みに着手する必要がある。それが、最新データの活用であり、フィジカルトレーニングなのだ。

もちろん、強豪校の中にもこういった取り組みを行っているチームはある。しかし、それを「徹底」するにはリスクがある。万が一結果が出なかったことを考えると、過去の実績や成功が足を引っ張ってしまうからだ。

ここからはあくまでも仮定の話になるが、おそらく近い将来、武田や立花学園のような高校が甲子園に出場し、躍進する時代がやってくる。最右翼は昨夏の独自大会ベスト4の武田かもしれないが、もちろん両校以外の高校が突如、甲子園で旋風を起こす可能性もある。

高校野球界にとって「甲子園出場」のブランドは圧倒的だ。もし、彼らのような高校が分かりやすい「結果」を残したら、多くの高校がそれに追随することになるだろう。

トレンドはいつしか高校野球界に定着し、「セオリー」になる。それが高校野球界における本当の意味での進化に繋がる。

たとえば、大阪桐蔭や横浜といった全国各地から有望な中学生が集まる強豪校で最新のデータ&トレーニングが導入されるようなことがあれば、一体どんなことが起こるだろう。

現在の高校野球界における投手の球速は「150キロ」が世代トップレベル、「140キロ」が好投手レベルとカテゴライズできる。大谷翔平(エンゼルス)や佐々木朗希(ロッテ)は別格として、今も150キロの壁は間違いなく存在する。

しかし、メジャーリーガーも実践するような最新理論が日本の高校野球レベル、もっといえば「強豪」と呼ばれる学校にまで落とし込まれたとき、投手のレベル、特に球速が飛躍的に向上することは容易に想像できるだろう。

「○○高校には140キロオーバーの投手が〇人いる」といった事実が驚きを持って報道されることがあるが、もしかしたら近い将来、「エースが最速160キロ。控えにも最速150キロ投手が複数」という時代が来るかもしれない。現実味がない話に思えるが、ここ10年間の野球界の進化を考えれば、決してあり得ない未来ではないだろう。


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