いろいろなボールを投げる
ボールを握る際に力みすぎていると、腕の振りが鈍くなり、肘への負担が増す。様々な種類のボールを投げて、適度な力の入れ具合で握れているかをチェック
●3ミリ大きいボール/3ミリ小さいボール
ボールを強く握りすぎていないかのスクリーニング。通常の硬式球でストライクが入らなかったり、肘に痛みを感じたりする人は3ミリ大きいボールを投げてみよう。うまく投げられたり、痛みを感じなかったりする場合、通常のボールでは強く握りすぎている可能性があ
る。そうした人は通常より3ミリ小さいボールでキャッチボールを行おう。その後で通常の硬式球を投げると、3ミリ小さいボールより握りにくいので、うまい具合に力が抜けて握りやすく感じられる。力むとボールを握りすぎる場合は少なくないので、その予防として行う
●アメフトボール
手のひらがすぐに打者に向いて末端が走らなくなっていないかのスクリーニング。硬式球と同じ直径で作られたアメフトボールを使用。腕を振る際に外旋を効かせ、リリース時に小指から振り出して指の末端を走らせる感覚をつかむ。しっぺをする際、指の面をそのまま振り下ろすより、ひねりながら振り下ろすと加速するイメージ。投球時に肘を押し出したり、抜いたりすると、手のひらが前を向くのが早くなる。アメフトボールは正面を向いて投げず、横向きから投げるため、小指から振り出す感覚をつかみやすい。最初は親指と人差し指、中指で握り、指の末端を走らせる感覚を養おう
●スピンアクシスボール
腕とボールの回転軸が合っているかのスクリーニング。アメフトボールでうまく投げられるようになったら、硬式球の3方向に青、赤、黄でラインをマークしたスピンアクシスボールを使い、野球のボールでも指の末端を走らせて投げられているかをチェックしよう。ラプソードで測定する機会がなくても、スピンアクシスボールを使えば回転軸を確認することができる。
自分が腕を振る角度と、ボールの青のラインが同じ角度でリリースされることがポイント。ストレートを投げているつもりでも、カットボールの成分が含まれると青のラインの見え方が減る。小指から振り出されるようにリリースすれば、力感がなくても強い球が行く。スマートフォンのスローで撮影して確認するとわかりやすい。
●ハンドボール
ボールの遠心力を指で感じられているかのスクリーニング。直径15〜19cmのハンドボール
(0号〜3号)は野球の硬式球(72.93mm~74.84mm)より大きい。ボールが大きいので小手先だけでは投げにくく、体の各部位を連動させてリリースまでの投球動作を行う必要がある。構造的に親指に力を入れて投げられないため、逆に中指と人差し指にしっかりかけて投げる感覚をつかむことができる。ハンドボールでキャッチボールを行うことで中指と人差し指を走らせる感覚が養われ、ストレートの回転量が増える選手も多い。
硬式球より重量が大きいハンドボール(200〜475g)をうまく投げるためには、体の連動をしっかり使うことが重要。前足トップを作り、足の外旋、股関節の方向出し、腹圧と胸郭で力を生み出し、腕を振りながら指先のリリースまで力を効果的に伝えながら投げていく。ハンドボールで感覚をつかめたら、硬式球を投げて確認しよう
出典:『革新的投球パフォーマンス』著/高島誠
『革新的投球パフォーマンス』
著者:高島誠
「高校生なら誰でも140km/hを投げられるようになる」という命題に明確な回答をする超実践本!近年成長著しい広島県私立武田高校で強化メニューを担当するトレーナーの高島誠の下には、山岡泰輔投手や高橋礼投手というプロの投手たちもシーズンオフにトレーニングにやって来ます。高島はどんな指導をして成長に導いているのか。その考え方や練習&トレーニング方法を写真とQRコードで詳しく解説!
公開日:2021.10.12