家中の煤を払って幸運を授ける歳神様を迎える準備はぬかりなく!
煤払いは新しい年を迎える準備である「正月事始め」にちなんで行なわれます。その内容は、簡単にいえば大掃除ですが、単に家の外や部屋の中をきれいにするだけが目的ではありません。もともとは、新しい年神様を祀るための準備として神棚や仏壇を清める信仰行事でした。
正月事始めが12月13日から行なわれるのは、「鬼の日」として婚礼以外は何でも「吉」とされていたことから。江戸時代には幕府がこの日を「江戸城御煤納めの日」と定め、それが庶民にも広がっていったと考えられています。 かつての煤払いには独特の道具が用いられていました。新しく切り出した笹や竹竿の先に葉やわらをつけたもので、「煤梵天」と呼ばれます。
現在でも神社や寺院などでは、煤梵天で煤払いを行なっているところもあります。この煤梵天は終わってからすぐに捨てるのではなく、小正月の左義長(88ページ)や「どんど焼き」と呼ばれる焚き火で燃やす地域もあります。また煤払いのあとに「煤払い祝い」といって団子や餅を食べる習慣が残っている地域もあります。ただ13日の掃除では、早すぎると感じる人もいるかもしれません。そんなときは、まず神棚や仏壇を清め、後日にあらためて大掃除をするという方法もあります。年の瀬が迫ってバタバタと大掃除をするご家庭も多いでしょうが、新年の幸運を呼ぶ年末の「儀式」として、煤払いを取り入れるのもいいかもしれません。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』監修:千葉公慈
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』
千葉公慈 監修
「運気を上げる」をキーワードに、「春」「夏」「秋」「冬」の1年を通して行われる暮らしの中のしきたりと、成長や長寿なと?を祝う「通過儀礼」のしきたり、結婚や葬式なと?にまつわる「冠婚葬祭」のしきたりを解説していきます。また、しきたりの「そもそも」と、古来より受け継がれてきたしきたりの変化、地域色、慶事と弔事のしきたりなど、「しきたり七不思議」的な視点で読者の興味を喚起します。日本人ならぜひとも知っておきたい日本のしきたりを図解でわかりやすくまとめて紹介!
公開日:2021.09.15