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視界からボールが消える!?藪恵壹が驚いた吉見祐治の〝魔球〟とは!?

Text:鈴木長月

意外と知られていないけど、実はみんな意識している!?プロ野球選手の利き目って?!

その成否にも実は多大な影響を及ぼす選手の〝利き目〟。OBが明かすプロ野球での実態とは!?

視界からボールが消えた!?藪を襲った〝魔球〟の正体

きっかけは、メジャーでも活躍した阪神の元エース・藪恵壹氏から出た何気ないひと言だった。とある媒体の取材で〝魔球〟をテーマに話をしていたとき、藪恵壹氏が唐突にこんなことを言ったのだ。「そう言えば、横浜にいた吉見(祐治)のストレート。あれは魔球でしたね。いつリリースされたかもわからないまま、気がつくとミットに収まっていた。その時点でプロに入ってもう何年も経ってましたけど、あんな経験は初めてだったから、めちゃくちゃビックリしましたよ」

横浜の吉見と言えば、プロ2年目の2002年に11勝をマークして、ヤクルト・石川雅規と新人王を争った左腕。だが、のちに中日のエースとなる吉見一起ならいざ知らず、くだんの吉見にそんなイメージはまったくない。聞いていたこちらも思わず「えっ、あのロッテにもいた?」と、聞き返したほどだった。

「僕は右投げ右打ちだから、打席では当然右打席に入るんだけど、利き目は左目だから、彼やたとえば石井一久のような、球の出どころがわかりにくいフォームの左腕にアウトコースを突かれると、ボール自体がまったく視界に入らなくなってしまうんです。それからですよね。プレーする上でも〝利き目〟ってものを強く意識するようになったのは」

確かに、目線の高さに人差し指を立てて片眼をつぶれば、左右の視界が驚くほどに違って見えることは誰にだって容易にわかる。動体視力がモノを言う野球のようなスポーツにおいて、左右どちらが利き目であるかは、利き手と同じくらい、重要なファクターでもあるだろう。

にもかかわらず、そうしたポイントに言及する解説者は、野球中継でもほぼ皆無。プロの第一線にいた藪氏でさえもが「それまでは外はちょっと苦手かな、くらいにしか考えたことがなかった」というのだから、なかなかどうして面白い。

出典:『がっつり! プロ野球(28)』

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