3年ぶりV逸はむしろプラスか!?シン・ジャイアンツ創造プラン
昨オフに超大型補強を展開し、リーグ3連覇へ盤石の陣容を揃えるも、3位に終わった巨人。かつての輝きを取り戻す術はあるの
か!?
もはや当たりを引けないFA戦線とは決別しよう
「まさかそんな……」CSファイナルステージのヤクルト戦で敗れ、シーズンを終えた時、巨人ファンの誰もがこう思ったはずだ。昨季まで盤石な強さを誇り、今季もリーグ連覇の筆頭と目されていたにもかかわらず、優勝を逃すどころか借金1で3位に終わるなんて誰も想像していなかっただろう。
そもそも、シーズン開幕前の巨人の陣容は例年以上に凄まじいものがあった。ソフトバンク相手に日本シリーズで2年連続ストレート負けを喫したのがよほど悔しかったのか、FA戦線ではDeNAの主力だった梶谷隆幸に井納翔一を引き抜き、外国人選手ではメジャー実績抜群のスモークとテームズを獲得。レギュラーに定着しかけていた松原聖弥ですらスタメンから外れるというくらいのメンバーを揃えて開幕を迎え、シーズン途中にもメジャー帰りの山口俊、日本ハムから放出された中田翔など実績抜群の一流選手を補強したが……残念ながら昨季、彼らが機能することはほとんどなかった。
まず、梶谷は故障がちでわずか61試合の出場に終わり、井納に至っては極度の不振で5月19日の登板を最後に2軍生活。シーズンを通じて2イニング以上投げた試合がないという結果。期待の助っ人だったテームズはデビューとなったヤクルト戦でレフトの守備中にアキレス腱を断裂して帰国すると、来日34試合で7本塁打と好調だったスモークはコロナ禍で家族が来日できないことを理由に6月末には退団。途中加入の山口も中田も起爆剤とはならなかった。ちなみにこの6選手に費やした費用は10億円を軽く超えている。
これほどまでにコスパの悪い補強はないだろう。梶谷や井納がいない分、野手なら松原がレギュラーとして独り立ちを果たし、投手では昨季3年目の髙橋優貴がチーム勝ち頭となる11勝をマーク。これを見るとFAで戦力補強をするのはもう時代遅れと言わざるを得ないだろう。
思えば過去5年のオフで19名の選手が国内FA移籍を果たしたが、その中で巨人は12球団最多となる8名を獲得。全員が戦力になればいいが、活躍したと言えるのは山口と丸佳浩の2人だけ。いずれも移籍前のチームで長年主軸を務めていたその年の目玉ともいうべき選手だった。
メジャーへの挑戦が一般的になった現在、チームの主軸となりうる超一流選手はメジャーでのプレーを目指し、FA市場に出てくる選手は以前よりも小粒であることがほとんど。にもかかわらず、かつての成功例に固執して以前ほど費用対効果の望めないFAに活路を見いだすのは愚の骨頂と言える。安易な戦力補強に走らず、現在のチーム状況を客観的に見て、補強に対して的確なジャッジを下すことがシン・ジャイアンツ創造において最も根幹の部分となるはずだ。
出典:『がっつり! プロ野球(30)』
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公開日:2022.02.14