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佐々木朗希が語る「最も自分らしさが出た試合」。観戦者の衝撃とは!?

Text:菊地高弘

19年ドラフト。4球団の競合指名の末、ロッテが交渉権を獲得した佐々木朗希(大船渡)。
岩手の沿岸部に生まれ育った怪物は、どんな景色を見てきたのか。かつては花巻東の菊池雄星、大谷翔平と岩手の怪物を追い、19年は佐々木朗希を追いかけたライターがその足跡を辿った。

佐々木朗希「怪物が見る景色」①

■佐々木朗希〝怪物が見る景色″⑤「作新学院との練習試合の目撃者

佐々木が「最も自分らしさが出た試合」として挙げたのは、19年3月の作新学院(栃木)との練習試合だ。果たしていかな投球だったのか。目撃者は語る。

目撃者①:ファームゲームイーター(スカウト的観戦者)

いまだ肌寒い3月、佐々木朗希の今年初登板、作新学院との練習試合で見せた投球は私の野球観戦歴の中でも最大の衝撃だった。
気温は
10度を下回る過酷な環境の中で、ダイナミックなフォームから投じたうなるようなストレートは、投
球練習の段階から「これはただ事ではない」と一目瞭然であった。
この日、計測したストレートの
最速は154キロ。2015年からスピードガン計測を始めた私のガン最速記録をあっさり叩き出し、平均球速も150キロを超えた。
私はかつて2軍にいた頃の大谷翔平や千賀滉大を見たことがあったが、ここまで圧倒的なボールを見たのは初めてだった。それが今年初登板の高校生だったというのが信じられなかった。


目撃者②:カバディ西山(『野球太郎』編集部員)

小雨交じりの中、山に囲まれた球場で練習試合は行われた。岩手で育った子なら寒くないかもしれないが、45分ほど歩いても、まだ寒く感じる気温。
しかも試合直前のブルペンではウインドブレーカーを着たまま、軽く立ち投げで20球ほどしか投げない。
本当に先発投手かも疑わしい。それで今年の実戦初登板となれば、出る実力は5割くらいのはず……が、その5割でほぼベストメンバーの作新打線を子ども扱いにするには十分だった。
佐々木の投球を見ていると、心が穏やかになりつつ、興奮する、というのは私だけだろうか。それは一種のセラピーのように。
これから、何度も“佐々木朗希セラピー”を受診し続けられることを願っている。

⇒佐々木朗希「怪物が見る景色」完。次回より、奥川恭伸「生来の「負けず嫌い」と「クレバーさ」でセ界から世界へ」に続く

次回「奥川恭伸「生来の「負けず嫌い」と「クレバーさ」でセ界から世界へ」へ続く

(初出:【野球太郎No.033 2019ドラフト総決算&2020大展望号 (2019年11月27日発売)】)

執筆:菊地高弘
1982年生まれ。『野球太郎』編集部員を経て、フリーライターに。選手視点からの取材を得意とする。近著に『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)がある。
アマ野球関連のラジオ出演なども多数。

【書誌情報】
『野球太郎』刊行:イマジニア株式会社 ナックルボールスタジアム

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