骨芽細胞を活性させて骨密度をアップ
みなさんは骨の強度を表す「骨密度」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。私たちの骨は毎日生まれ変わっています。そのとき骨を作る骨芽細胞骨よりも、骨を壊す破骨細胞が優勢になると、骨密度が下がって骨がもろく、折れやすくなります。逆に骨芽細胞が優勢であれば、骨密度が上がって丈夫な骨になります。
骨密度は体の成長とともに増加し、個人差はありますが、男性の場合25歳〜30歳前後、女性の場合は20歳〜25歳前後から、低下しはじめるとされています。とくに女性は、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少とともに、骨密度が著しく低下します。
骨密度の低下が進むと「骨粗鬆症」になり、つまずいて手をついたり、くしゃみをするなど、小さな衝撃で骨折するリスクが高まります。転倒して骨折すれば、介護が必要な生活になることも。高齢者にとって、骨密度を維持、向上させることは、生活の質(QOL)を保つうえでも大切なことなのです。
また、脳への作用も大きいことがわかってきました。より頭を使うエキセントリック運動が、脳の健康や認知能力の向上に好影響を及ぼすようです。認知症の予防や発症を遅らせるためにも、日常的なエキセントリック運動の実践が望まれる理由はここにもあります。
ではどのようにすれば、骨密度を高めることができるのでしょうか。
ひとつ分かっているのは、物理的なストレスがかかると、骨芽細胞が活性化されることです。なかでも手軽にできるのが、運動によるストレスです。とくにジャンプや階段を下りるといった、骨の縦方向にかかる衝撃が有効と言われています。
また、筋肉に対して強い負荷をかけることで骨が引っ張られ、その刺激が骨芽細胞を活性化することも知られています。階段を下りるときのストレスは、この両方に共通して作用を促すと考えられます。
【書誌情報】
『ゆ〜っくり座れば、一生歩ける!』
著:野坂和則
一生歩ける足腰はゆ〜っくり座ることで鍛えられる!「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、男性は約72歳、女性は約74歳です。誰でも歳をとるにしたがって身体機能は衰えていきますが、その衰え方には大きな個人差が。その個人差の要素のひとつが「運動」です 。運動をしている人とそうでない人では、健康寿命に大きな差が出てきます。運動といってもいろいろありますが、健康寿命を高めるには脚の筋力を維持し、向上させる筋力トレーニングが必須です。しかし、そうは言っても普通の筋トレはつらそうだし、なかなか重い腰が上がらない……という方にこそ実践して頂きたいのが本書で紹介している「エキセントリック運動」です。ゆ~っくりイスに座る時、大腿の前側の筋肉は伸ばされていきます。これが典型的なエキセントリック運動です。本書では、自宅でできるエキセントリック運動を紹介しており、どうしてエキセントリック運動が一生歩けるような足腰をつくるのに適しているのか解説しています。試しに、ゆ~っくりイスに座ってみて下さい。それだけでもかなり脚に効いていることがわかるはず。つらくないのに効果は絶大――。エキセントリック運動をすれば、10年分の筋力低下を、たった2ヵ月で元に戻すことも可能です。転ばぬ先の杖、一生歩ける体でいられるように、今日から準備を始めましょう。高齢者の方はもちろん、家族全員でぜひ読んで頂きたい一冊です。
公開日:2020.02.25
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