プロ入り後、上位指名選手をごぼう抜き!?ドラフト下位指名からの下克上列伝
実力勝負のプロ野球の世界。スタートラインさえ違えど、己の体ひとつで成り上がった元隠し玉たち。ドラフト指名時にはあまり知られていなかったが、チームの主力に成り上がった男たちの下克上を紹介したい。
パワーの壁を乗り越えてプロでも「仕事」をこなす
【中野拓夢/阪神タイガース】
2020年ドラフト6位
宮﨑敏郎とは逆に中野拓夢はどこのチームも欲しがるようなプレーヤーだ。センターラインが守れ、ヒットが量産できるスピードスター。トーナメント一発勝負の社会人野球では、特に好まれる選手と言っていいだろう。
ただし、それはアマチュア球界での話。チームメイトの近本光司と同じく、中野も171センチの小兵。プロの力感に対応できるのかという点で疑問視されるタイプだ。
しかし、中野の「仕事力」は確かだった。俊敏さを生かしたフィールディングで正遊撃手の座を射止めると、135試合に出場し、打率・273をマーク。30盗塁で1年目から盗塁王を獲得し、さらにリーグ最多の20犠打を決めてみせた。
派手さはないが、試合を通して走攻守の何かしらでチームに貢献できる選手。守備力、走力、バント、阪神の穴をきっちりと埋めてきた。
近年のドラフトでは身体能力自慢の大型遊撃手に注目が集まりがちだが、野球は無差別級。中野のような仕事人がいるから面白い。
出典:『がっつり! プロ野球(32)』
『がっつり! プロ野球 (32)』10月7日発売!
公開日:2022.10.25