8月23日より二十四節気は処暑。この時季を境に、厳しい暑さは峠を越し、朝晩は少しずつ過ごしやすくなってきます。灼熱の太陽にじりじりと焦がされ、まるで熱を抱え込んでいるようだった大地が、少し穏やかな顔をのぞかせてくれるとなんだかほっとしますよね。
処暑の七十二候を見ると、初候は「綿柎開(わたのはなしべひらく)」、末候は「禾乃登(こくものすなわちみのる)」と、綿花や禾(のぎ・穀物)など秋の植物が少しずつ出てきます。
初候の綿柎開(わたのはなしべひらく)は綿花(めんか)が開く時季。この綿花は、花ではなくふわふわした「わた」のことをさしています。そして、処暑の末候の禾乃登(こくものすなわちみのる)は穀物が実る意味。「禾」(のぎ)は穀物の総称といわれています。
今回は、そんな七十二候にちなみ、イネ科の穀物や植物、綿を使った月形リースのつくり方を紹介。暑さがやわらぐなか、秋の気配をいち早くご自宅でも感じられるおすすめの一品です。
穀物の実りを感じる月形リース
イネ科の植物は、流れるような動きがとても綺麗です。土台をワイヤーにすることで、自由に変形でき、その動きを思うように表現することができます。
【材料】
写真上段左から
赤づる……2本
アワ……5本
イネ……50〜60本
コーリャン(タカキビ)……1本
グラスペニセタム……5本
綿(茶)……3個
パンパスグラス……3〜4cm幅長さ15cmほどの束を3束
ワイヤー(18番)……2本
写真下段左から
フレイクチョコラータ(黒ヒエ)……2本
スモークグラス……3本
古代米……20本
フローラルテープ(オリーブグリーン)
金ワイヤー(28番)
【作り方】
1.土台にする18番のワイヤーを2本まとめてフローラルテープで巻く。作りたい形にワイヤーを弓形に曲げる。
2.ワイヤー土台の左端から金ワイヤーで花材を巻きつけていく。最初は垂れ下がりやすいイネを10〜15本ほどまとめて巻く。金ワイヤーは切らずに次の花材へと続ける。
3.巻く部分を少しずつ右にずらしながら、重なりすぎないよう種類ごとに好きな順番に巻いていく。このとき、植物の穂先が重ならないよう少しずつずらして巻く。
きっちり巻く。
4.同じ種類が隣どうしにならないように巻いていく。
5.土台の3分の2まで巻いたら逆側にも植物を巻く。
6.逆側は、同じ位置に花材ごとに巻いていく。
7.逆側もでき上がった状態。
8.花材を束ねたところに綿を置いて、リースに沿わせるように枝部分を金ワイヤーで巻きつける。これで月形リースの完成。
9.赤づるを丸めて1か所を金ワイヤーで留めておく。
10.綿を巻いた部分の端を中心にして、月形リースを金ワイヤーで5~6回巻いて、赤づるに括りつける。
11. つるの形にあわせて不安定な箇所は何か所か金ワイヤーで括りつけてでき上がり。
月形リースの土台をワイヤーにしているので、自由に形を変えることができる。
スワッグにするとクールな印象に
今回作ったのはワイヤー土台のリースでしたが、好きなように束ねてスワッグにしても素敵です。スワッグにすると、イネ科の縦のラインが生かされて、すこしクールなイメージになります。ご自宅の雰囲気に合わせて形を色々と変えてみてください。
今回使った植物は、綿以外は全てイネ科の植物です。花材としてのイメージがあまりないかもしれませんが、落ち着いた色合いやサラサラと揺れる動き、ふわっと風になびく空気感がとても魅力的で、ぜひ室内でも楽しみたい花材のひとつです。
普段は、食べ物として食卓に上った姿や、田んぼや畑、野原などで風と共に揺れる姿しか見ることがないかもしれません。日本人だからでしょうか、イネ科の植物を見ていると、何とも言えぬ穏やかで懐かしい気持ちになるのです。
【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著
古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。
関連サイト
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公開日:2023.08.23