最速159キロの豪腕!独立リーグから虎のクローザーへ!椎葉剛
昨秋ドラフトで阪神タイガースから2位指名を受け、プロ入りした椎葉剛投手。2023年は四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでプレーしており、独立リーグからのドラフト2位指名は2013年の又吉克樹投手(指名時は中日/現ソフトバンク)に並ぶ歴代最高順位。
そんな“独立リーグの星”椎葉投手ですが、今春キャンプでは新人の中で唯一、一軍キャンプスタートを決め、首脳陣からも熱視線を浴びています。
島原中央高校時代は全国的には無名の投手。当時はチーム事情&強肩を買われて捕手としてもプレーしており、本格的に投手を務めたのは3年夏のみ。卒業後は社会人のミキハウスに入社するも3年間で公式戦出場はわずか1試合にとどまるなど、なかなか殻を打ち破れずにいました。
しかし2023年、不退転の覚悟で入団した徳島で、椎葉投手は“大化け”します。入団当時からストレートの最速は148キロと決して“遅い”部類ではありませんでしたが、わずか1年間でプラス11キロ、最速159キロまで急成長。リーグでは22試合に登板(先発2試合)し、3勝0敗1H1S、防御率2.31。39回を投げて51奪三振と、奪三振率は驚異の11.77をマークしました。一方で与四球は25(与四球率6.46)と粗っぽさもありますが、その点はプロの世界で改善してほしい部分。
最大の武器は、やはり空振りを奪えるストレート。183センチ92キロと、体格はすでにプロ級。独立リーグでのトレーニングで体が一気に分厚くなり、低い重心から放たれる剛球で三振の山を築きます。昨季の投球成績を見てもわかるように、典型的なリリーフ型。プロからの評価も「リリーフで即戦力」。近い将来、セットアッパーやクローザーを務める姿が容易に想像できます。
阪神で「ストレートが武器のリリーバー」といえば、どうしても藤川球児投手を思い浮かべるファンが多いでしょうが、筆者がその姿にダブるのは同じ阪神のクローザーでも“石直球”で知られた呉昇桓(オ・スンファン)投手(サムスン)です。
阪神では2014~15年の2年間プレーしただけですが、椎葉投手のように低い重心から放たれる剛球を武器に2年連続最多セーブのタイトルを獲得。韓国、日本、アメリカでの通算セーブ数は522を誇り、41歳となった昨季も韓国・サムスンでシーズン30セーブをマークしています。
藤川投手がホップするようなボールの“キレ”で空振りを奪うタイプだとすれば、椎葉投手や呉投手は唸りをあげるような“球威”で打者をねじ伏せるタイプ。
春季キャンプ、オープン戦と結果を残せば開幕一軍、さらには“勝利の方程式入り”も一気に近づくはず。現在、阪神のリリーフ陣で椎葉投手のようなパワーピッチャーはあまり多くないため、タイプ的にもリリーフの一角に収まる気配は十分。
また、自慢のストレートだけでなく独立リーグ時代にはスライダーにも磨きをかけており、これがモノになればまさに“鬼に金棒”。近未来のクローザー奪取も、決して夢物語ではありません。
チームには同じく独立リーグからプロ入りして一軍リリーフ陣に定着した湯浅京己投手がいますが、今季はこのふたりによる「独立リーガーリレー」にも期待したいところです。