ストーリーとキャラクターが連携すると作品の深みが増す
売れるマンガはキャラクターが立っているといわれますが、実際はストーリーとは分離できない関係性なのです。
キャラクターをストーリーと結びつける
いい例
「好奇心旺盛な主人公」には、「さまざまな世界を旅するストーリー」を用意することで、さまざまな場所へ旅をする動機を持った主人公が生まれます。
悪い例
ストーリー上の仕掛けも用意せず、「世界を旅する展開」を「家から出られない主人公」にやらせようとすると、ストーリーが破綻してゆきます。
読者が惹き込まれるマンガの特徴として、ストーリーとキャラクターがしっかりと結びつけられている、という点が挙げられます。
作者がしっかりとした筋道を立ててストーリーを考えることでキャラクターがいきいきと動き出し、キャラが動くと、そのキャラが発しそうなセリフが生まれていきます。そのとき印象的なセリフであればあるほどキャラの活躍はストーリーへ読者を惹き込みます。完成度の高いマンガは、それらの要素がお互いにいい影響を与えあっているのです。
マンガのなかにはストーリーとの連携よりも、キャラの見た目を重視してしまい、キャラの見せ場をつくるために無計画にストーリーを展開するという作品もありますが、そのような作品では連載が長引くにつれてストーリーが支離滅裂になっていきます。
ストーリーと結びつけやすいキャラクター例
アクション
最初は弱いところもよく見える、成長してゆく主人公がアクションマンガの定番。勝てなかった敵を倒すなど、アクションものは成長が読者にも伝わりやすい。
スポーツ
成長する主人公が動かしやすい。ともに成長する仲間や、成長をわかりやすく見せる基準となるライバルがいれば、その関係性がメインストーリーになる。ヒロインを設定すると、恋愛要素のサイドストーリーも生まれる。
ラブストーリー
人間関係や心理の変化が中心となるので、それらが見えやすい等身大の主人公に。恋愛の相手は主人公と対照的なキャラクターにすることで、ふたりのギャップによってストーリーを展開できる。
では、ストーリーとキャラをうまく連携させるにはどのようにしたらいいでしょうか。ストーリーにがっちりかみ合った、展開しやすいキャラを用意することです。
たとえばアクションものやスポーツものの主人公は、成長型のキャラクターが定番です。序盤での挫折や失敗、敗北を終盤で挽回するストーリーは、キャラクターを成長させるだけでなく、ストーリーを進展させて作品世界を分厚くしていきます。ストーリーとキャラクターの一方ではなく、両者がうまい具合に連携しているものです。
そうしたストーリーとキャラクターの抜群の連携は、行き当たりばったりの偶然に生まれるのではなく、作者と編集者が企画と作戦を練ってつくり上げられています。
マンガ作品を描くうえで、ストーリーとキャラクターはどちらかをおろそかにすれば、もう一方の魅力も半減してしまう、両輪のような関係であると覚えておきましょう。
【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ
【書籍情報】
『テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム』
著:佐藤ヒロシ
マンガを描く上で、アイデアやイメージを形にするのは難しく、面白さを伝えるためにはネームが必要です。ネームは、コマ割りや構図、キャラクターの配置などを具体的に示す設計図であり、作品の完成度を高めるために何度も修正を繰り返します。本書では、ネームの作り方と素晴らしい作品になるためのポイントを解説し、実際のネーム添削も紹介。ネームを描くことが、面白いマンガを作成する第一歩です。マンガネームの書き方に悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいおすすめの一冊です。
公開日:2024.06.19