来客・訪問時の対応
「○○様が見えられました」って敬語?
会社には毎日、大勢の来客があります。それでは、受付から得意先の課長が来社したという連絡を受けて、上司に伝える際、どう取り次ぎますか?
「課長、△△商事の○○様が見えられました」
「来る」の尊敬語である「見える」を使って、十分に相手に敬意を表しているようですが、どこかまだるっこしさを感じさせます。
「見える」という敬語にさらに「られる」という敬語が重なった二重敬語になってしまっているからです。このような過剰な敬語は耳ざわりですし、敬意も相手に伝わりません。この場合は、
「課長、△△商事の○○様がお見えになりました」
「○○様がいらっしゃいました」
というのが正しい言い方。すっきりしていて、敬意もきちんと伝わります。これも、
「○○様がお見えになられました」
「○○様がいらっしゃられました」
のように二重敬語になることがありますから、注意が必要です。
もう一段上級の取り次ぎ方を目指すなら、先を読むことでしょう。
得意先が来社したことを告げられた上司が次に何をするかを推察するのです。
上司は当然、得意先を応接室なり会議室なりに通すように指示するはずです。 その指示を促すような取り次ぎ方ができれば、上司も「なかなか行き届いているな」と、できる人としてお墨つきを与えようというものです。
「○○様がお見えになりました。いかがいたしましょうか?」
これで完璧。タイムラグなしに上司は「2階の第3応接室にお通ししてくれ」などの指示を出せます。上司が忙しそうな様子のときは、もうひとことつけ加えましょう。
「すぐにおいでになれますか?」
上司がすぐに応接室に迎えるのか、来客を少し待たせることになるのかの確認です。その結果を「△△(上司の名前) はすぐに参ります」、「恐れ入りますが、5分ほどお待ちいただけますでしょうか」というように来客に伝えます。ここまで配慮できれば、文句のつけようがありません。
【出典】『頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二
【書籍情報】
『頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二
敬語は社会人にとって必須のスキルであり、適切に使いこなすことで人間関係を円滑にし、ビジネスの成功にもつながります。40万部超ベストセラーのビジュアル新版である本書『頭がいい人の敬語の使い方』は、日常生活からビジネスシーンまであらゆる場面で役立つ敬語の使い方をイラスト図解でわかりやすく解説しています。また、「間違いやすい敬語」や「すぐに使える敬語表現」といったトピックもカバーしており、他者と良好な関係を築くためのヒントが満載です。あらゆる場面で使える敬語力を身につけ、ワンランク上の“デキる大人”を目指しましょう。
公開日:2024.08.10