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家庭で感覚を堪能するための工夫を紹介!チームで子どもの支援をしよう【発達が気になる子の感覚統合遊び】

Text:藤原里美

理論5:チームで子どもを支える(ケーススタディーと保護者支援)②

○理論解説のポイント!

  • 感覚過敏は長い目で見ることが大切
  • 社会性の発達を支える配慮と環境の支援が重要
  • 保護者支援とチームづくりが求められる

【アイデア・提案】家庭で感覚を堪能する工夫

① G君の場合

G君は部屋の中を走り回ることが多く、少しでも落ち着いて遊んでほしいと保護者の方は思っていました。そこで、階下に音が響かないように一人用のトランポリンを購入しました。好きなだけそこで跳ぶことができます。走りはじめたら「トランポリンにしよう」と声をかけます。「走らない」とNO をいったら、必ずそれに代わる「トランポリンを跳んでいい」というYES を用意することが大切なのです。

この肯定的な声かけも、子どもにとっては心地よいものです。「何回跳べるか?」と数えてもらい、それを記録として自分で表に書き込む作戦もヒット! しっかり跳んだ後は気持ちも落ち着くようで、好きなパズルやブロックに集中して取り組むようになりました。

② Hさんの場合

Hさんは、食事中椅子に座りながら足をぶらぶらとゆすって前に蹴りあげてしまいます。テーブルにも足が当たり、落ち着いて食事がとれません。注意してもまったく改善しません。

そこで、椅子の前足の部分に、横になるように太いゴムを張ってもらいました。すると、そのゴムに足の甲をひっかけ足をゆすることでゴムの感触を楽しむようになりました。足を大きく振りあげることはなくなり、落ち着いて食事がとれるようになりました。

また、足を置くところに、青竹ふみのように足の裏に感覚が入るものを置くのもよいでしょう。感覚を入れてあげることで落ち着く子が多いので、座る環境を調整してみましょう。

【アイデア・提案】家庭で感覚を堪能する工夫【発達が気になる子の感覚統合遊び】

【アイデア・提案】チームで支える:子どもの支援を共有するポイント

子どもへのかかわりについて、連携をとるためにはシステムづくりが欠かせません。まず、「いつ」「どこで」「誰と」話し合いをもつのかを考えて、時間や場所を決めておきましょう。短時間でも充実した内容とするために、保育の記録の取り方も工夫します。

大切なのは保育の意図を書き込めるフォーマットを用いるということ。今ある保育記録に「なぜそうしたのか?」という保育の意図を書き込めるようにしてみましょう。

保育の意図を書き込んだ例

【子どもの行動】自由遊びのときに癇癪を起した

【保護者のかかわり】大丈夫だよと優しく伝え、静かな場所に誘導しマッサージをした

【かかわりの意図】聴覚過敏により癇癪になった、ひとりになれること、好きな感覚を入れることにより落ち着けると考えた

【子どもの行動】興奮して部屋を走り回っていた

【保護者のかかわり】好きな塗り絵を出して誘ってみた、しばらくそばについていた

【かかわりの意図】覚醒レベルが上がっていたので、好きな遊びび集中させることでレベルを下げようとした。すぐに離れるとまた走り出すと思ったので落ち着くまではそばで見守った。

もしも、話し合いの時間が十分にとれなくても、子どもの困った行動が起きたときのかかわりと意図を視覚化することで、子どもの支援の共有化が図りやすくなります。また、この記録を個別支援計画に反映させることもできます。

特に、集団になかなか入らず、人とのかかわりももたないようなタイプの子を担当すると、ほかの子どもや職員とのかかわりが少なくなり、孤立しがちになります。この孤立化を避けるためにも、記録をもとにコミュニケーションをとるように心がけましょう。

職員のかかわりにも 紹介した「氷山モデル」を当てはめ、行動の意味を共有することが大切です。また、自分のかかわりの意図を振り返り、言語化することで職員の子どもの見立て力や支のアップデートも図れます。情報の共有により、支援のポイントやアイディアの幅も広がるでしょう。お互いの意図を意識してキャッチボールし、チームづくりに役立てましょう。

【アイデア・提案】遊びの活用の前のインフォメーション

第2章からは、遊びの紹介をしていきます。遊びは、以下のように分類しています。また、各遊びについているアイコンは、「特にこの力を伸ばす遊び」ということを示しています。

ぜひ、本書で紹介している感覚統合遊びを参考に、子どもと楽しく遊んでください。大切なのは「遊んでいたら発達した!」です。

  • 第2章「ボディイメージ」:固有感覚のつまづきにアプローチする遊び
  • 第3章「バランス感覚」:前庭覚のつまづきにアプローチする遊び
  • 第4章「触れて楽しむ」:触感覚のつまづきにアプローチする遊び
  • 第5章「身のこなし」:協調運動のつまづきにアプローチする遊び
  • 第6章「感覚を堪能する」:感覚欲求のアンバランスにアプローチする遊び
  • 第7章「ゲームで楽しむ」:感覚統合をゲームで楽しむ遊び

【アイコンの特徴】

パワーセンサーちゃん:力加減の調節が得意

パワーセンサーちゃん:力加減の調節が得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】

ボディイメージちゃん:自分の体の理解が得意

ボディイメージちゃん:自分の体の理解が得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】

ルックセンサーちゃん:見る力の調節が得意

ルックセンサーちゃん:見る力の調節が得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】

バランスセンサーちゃん:体のバランス調節が得意

バランスセンサーちゃん:体のバランス調節が得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】

タッチセンサーちゃん:触って感じたり理解するのが得意

タッチセンサーちゃん:触って感じたり理解するのが得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】【発達が気になる子の感覚統合遊び】

リッスンセンサーちゃん:聞き分けて理解するのが得意

リッスンセンサーちゃん:聞き分けて理解するのが得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】

コラボちゃん:体の部位を協力させて使うのが得意

コラボちゃん:体の部位を協力させて使うのが得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】

セーフマインドちゃん:情緒を安定させるのが得意

セーフマインドちゃん:情緒を安定させるのが得意【発達が気になる子の感覚統合遊び】

【出典】『発達が気になる子の感覚統合遊び』著:藤原里美

【書誌情報】
『発達が気になる子の感覚統合遊び』
著:藤原里美

子どもの困った行動には意味があり、感覚統合の視点から理解すると、これらは感覚情報の処理がうまくいかない結果であることがわかります。感覚統合は「発達凸凹」の子どもたちの支援に重要で、「遊び」を通じて子どもの能力を引き出す方法が強調されています。「発達が気になる子の感覚統合遊び」では、理論編と実践的な遊び編で構成されており、100以上の遊びを紹介しています。遊びを通じて子どもの情動を安定させ、成長を促すことを目的としており、子どもの理解と支援を促し、幸せな未来を共に築くために読んでおきたいおすすめの一冊です。

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