Bリーグスターガイド⑪ 渡邉飛勇
今シーズン、開幕9年目を迎えたBリーグ。今夏行われたパリ五輪での日本代表の奮闘ぶりも記憶に新しく、現在では強豪チームの試合でチケット争奪戦が行われるなど、絶大な人気を誇っている。そこで『ラブすぽ』では「今年からBリーグを見よう!」と考えている読者のために、「この選手は押さえておこう」という、Bリーグのスター選手を厳選してご紹介する!
渡邉飛勇
信州ブレイブウォリアーズ
背番号:34
現在も含め、日本代表にとって長年課題とされてきたのが「ビッグマン」の存在です。身長2メートル超えの選手が当たり前のバスケットボールにおいて、どうしても「体格の差」がもろに出てしまうのが5番=センターのポジション。日本代表では近年、ニック ファジーカス選手(207センチ)やジョシュ ホーキンソン選手(208センチ)といった帰化選手がその責務を担うケースが多いですが、現在、多くのファンが期待を寄せる「日本人ビッグマン」が渡邉飛勇選手です
身長は207センチと海外の選手にも引けを取らない堂々たる体格。現在は日本代表にも定着しつつあり、2024‐25シーズンからはB2の信州ブレイブウォリアーズでプレーしています。
渡邊選手はアメリカ・ハワイ出身。父方の祖父は元NFL選手で、自身は高校時代まで長身を活かしてバレーボール選手としてプレーしていました。高校時代にバスケを「掛け持ち」で始めると、その才能が開花。ポートランド大学に進学後はバスケに本格的に打ち込み、在学中の2018年には早くも日本代表合宿に参加。翌2019年に代表デビューを果たしています。また、東京五輪にも代表最年少(当時22歳)で選出。試合出場こそありませんでしたが、確かな経験値を手に入れました。
Bリーグには2021‐22シーズンから琉球ゴールデンイーグルスと契約するも、プレシーズンマッチで骨折して同シーズンは出場なし。2022‐23シーズンにBリーグデビューを飾ります。しかし、「ビッグマン」はBリーグでも外国籍選手が優位なポジション。渡邉選手もなかなかプレータイムを伸ばすことができず、過去2シーズンは出場数がともに20試合程度で、プレータイムも平均5~6分に限られていました。
しかし、日本人離れした体格とフィジカルが高く評価され、パリ五輪では2大会連続で代表に選出。出場機会は限られていましたが、初戦となったフランス戦、日本1点リードの第4Qでは豪快なブロックを決めるなど、世界を舞台に確かなインパクトを与えます。
迎えた新シーズン。琉球から信州へと移籍した渡邉選手は、Bリーグの舞台でも躍動しています。15試合を消化した時点で実に13試合にスターターとして出場。昨シーズンまでは平均1~2得点を推移していましたが、今シーズンは平均7.7得点、4.6リバウンド、1.6ブロック。特にブロックはB2でも5位にランクインしており、日本人のトップ10入りは渡邉選手ただ一人。
「高さ」で外国籍選手と渡り合える稀有な存在としてチームを支えています。今シーズンの信州はB2からの出直しとなっていますが、渡邉選手だけでなく昨シーズンまで2年連続得点王に輝いているペリン・ビュフォード選手など、積極的な補強で「B1クラス」の戦力を誇ります。B2東地区ではやや苦戦を強いられていますが、シーズン終盤に向けて渡邉選手がこれまでどおりのクオリティでプレーを続ければ、上位進出も見えてくるはず。
B1再昇格を成し遂げるためにも、Bリーグでも貴重な存在である「日本人ビッグマン」渡邉飛勇選手の活躍に期待したいところです。
文・花田雪
公開日:2024.11.30