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感情表現 物語にうねりを起こ⑰懐かしむ【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】

Text:秀島迅

NO.17 懐かしむ【なつかしむ】[英:Nostalgic]

【意味】

過去のことを思い返し、それにひたること。

【類語】

懐古 懐旧 回顧 追憶 回想 郷愁 望郷 ノスタルジー サウダージなど

体(フィジカル)の反応

  • 落ち着いたトーンの声
  • 優しくうるんだまなざし
  • リラックスした表情
  • 思い出の品を手に取る
  • 遠くをぼんやりと眺める
  • ゆっくりと目を閉じる
  • 思い出話をする
  • 思い出を共有している人に連絡をとって語り合う
  • ため息をつく
  • 首を横に傾ける
  • 当時の映画や音楽を鑑賞する
  • 目や鼻の奥がツンとする
  • 思い出の場所に足を運ぶ

心(メンタル)の反応

  • 胸がじんわりと熱くなる
  • 過去と現在の類似点を見つけ出す
  • 感傷的な気持ち
  • 時間の感覚がなくなる
  • 全身の力が抜ける
  • やる気が出ない
  • もう一度過去のある地点に戻りたいと望む
  • 周囲の様子を気にしない
  • やるべきことに手をつけられない
  • 思い出を美化する
  • 思い出の細部まで思い出そうと試みる
  • 経験したことに対して満足感を覚える
  • 郷愁で胸が切なくなる

物語の時系列を自在に操るには語彙力がモノをいうことも

小説には、物語展開の途中でキャラクターの過去を振り返って描写する〝背景〟という手法があります。

現在進行形のストーリーに対して、昔話を挿入することでキャラクターの生い立ちや家庭環境やトラウマを明らかにし、行動理由と目的意識を補足する役割を担うパートです。

その際に有効な感情語彙が「懐かしむ」。
具体的には次のように使います。

『悠斗は海を眺めるうち、中学生の頃を懐かしむ。ずっと海のそばで育った。海は当時の気持ちを呼び起こしてくれる。思えば転機は 13歳の夏に訪れていたのかもしれない――。』

次の行から13歳の夏を舞台にした悠斗の〝背景〟が始まります。
「懐かしむ」表現をインサートして活用すれば、現在から過去へのワープが自然に成立することがおわかりいただけると思います。物語の時系列を自在に操るには、語彙力がモノをいう一例です。

「懐かしむ」を活用すれば輝かしいあの頃に戻れる

感情表現 物語にうねりを起こ⑰懐かしむ【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】

 

【出典】『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』著:秀島迅

【書誌情報】
『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』
著:秀島迅


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