エジプト神話|新旧の神々がまとまり強大化
古代からの信仰の源と新たな神が一体化することで力を増す
約1700年ともいわれる長期におよんで、絶対神であり続けたアモン・ラー。その強固で幅広い信仰は、アモン神とラー神の習合体だったからとも考えられます。
ラーはもともとエジプトで絶対視されていた太陽を司る不死の神。アモン神は4つの神話中、最新であるテーベ神話の中で確立された神です。
ただし、アモン神の起源は、ヘルモポリス神話の原初の八柱神(アグドアド)の中のアメン(アモン)にあります。
アメンは見えざる存在としての性質を持ち、そのために自由自在に姿や意味合いを変えてきた神でもありました。
生命の神、生殖の神などと結びついて力を増しながら、ヘリオポリス神話の創造神アトゥムと融合します。
アトゥムはすでに太陽神ラーと習合していたため、アメンはアモン・ラーとなり創造神と太陽神が習合した神としても力を持つこととなったのです。
平民出身のファラオ、アメンエムハト1世が、自らの権威づけのために新たな主神としてアモン・ラーを定めるなど、政治的な背景もともない、エジプトの神々の最高峰として人々の崇拝の対象となりました。
アトゥム:原初の混沌「ヌン」から生まれた、ヘリオポリス神話の創造神。大気の神シュート湿気の女神テフヌトを独力で生んだ、両性具有の神とされる。
エジプト全域で信仰を集める太陽神ラー
天空の船に乗って太陽を運ぶことが仕事で、日の出とともに生まれ、日没とともに死ぬ。死と再生の船旅を続けている。
ハヤブサの頭に太陽を象徴する円盤を頂く。ハヤブサは天空を象徴する神聖な動物。
権威と結びつく神
王座に就いた王たちは自らがファラオであることを正当化するために、「ラーの息子」を自称し、強大な影響力にあやかった。ラーはヘリオポリス神話ではアトゥムと結合し、創造神として崇あがめられるようになる。かのアレクサンドロス大王もまた、アメン神の息子を名乗った。
エジプトと太陽崇拝
作物の実りにかかわり生命をはぐくむ一方で、干ばつなどで恐怖をも与える太陽は、エジプトだけではなく、世界各地で畏おそれられた。そのため、各地の神話では太陽神の力はとても強大だ。時代・地域を超えて崇拝されたのも無理はない。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
監修:鈴木悠介 日本文芸社刊
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公開日:2025.02.12
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