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植物はどうやってあちこちに子孫を増やす?【眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話】

Text:稲垣栄洋

Q 植物はどうやってあちこちに子孫を増やす?

A 自力、もしくは自然や動物の力で増える

物は移動できませんから、種子をどのようにして、なるべく遠くまで届けるかということが切実な問題となります。自分のテリトリーを広げることは、植物に限らず、多くの生物が繁栄していくために必要なことです。

植物の場合、大きく3つの方法があります。①風や水など、自然の力を利用する。②動物たちに種子を運んでもらう。③自分の力で種子を物理的に、遠くに弾き飛ばす。

ヤシの実は浮力で水に浮きます。水の力を利用して遠くの海岸へと流れつきます。ヤシの木が海岸近くに育つ理由はこれです。砂浜に実を落とせば、そのうち波が海に引き込んでくれるからです。

風の力を利用する植物の例として、砂ぼこりの舞うアメリカの乾燥した大地を転がって種子をばらまくタンブルウィード(転がる草。いろいろな草がタンブルウィードとなる)があります。タンブルウィードの枯れた茎には種子がたくさんついていて、その茎がたくさん丸く絡まって風でころころ転がりながら種子をばらまいていくのです。

動物に運んでもらう植物の代表例は、「ひっつき虫」とよばれるオナモミの実でしょう。草深い藪を歩いていると、ズボンなどに植物の実がたくさんつくことがあり、それを払い落とすのは一苦労です。衣服だけでなく、動物の毛にもくっつきます。

ほかに、果実を食べてもらい、種子を口から吐き出してもらうか、後でどこかで排便してもらう方法をとる植物もあります。このほかにも、実がはじける力で種子を飛ばすホウセンカや、風がなくてもグライダーのような種子が遠くまで滑空するアルソミトラのように、自力で種を運ぶ植物もあります。

種の大冒険!

①風や水の力を利用する

ヤシ(ココヤシ)

アルソミトラ


果実は木の高いところにできる。果実が割れると、そこから種が1枚また1枚と、遠くの地上へと滑空していく。

② 動物といっしょに移動

オナモミ

ハルパゴフィツム


アフリカにはハルパゴフィツムという世界最強のトゲをもつツル植物がある。種子はトゲに囲まれた中心部分の硬い殻の中に。ゾウやサイなどの大型動物がこのトゲを踏んだら、もう抜くことはできない。かまわずに歩くうちにトゲの中心がむき出しとなり、殻が地面に落ちて種子がばらまかれていく。

③自分の力で種子を飛ばす

ホウセンカ


実がはじけると、バネのように物理的な力で種子を弾き飛ばす。

このサバイバル術がすごい!

動物に食べられ糞として散布、水に流されて運ばれる、種子をたくさん含んだ枯れた茎が丸まって、乾燥地帯を吹き渡る風で回転しながら散布するなど、種子の広がり方は巧妙で多彩だ。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋


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監修は、植物学者・静岡大学教授の稲垣栄洋先生!
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