左ピッチャー何のその!
7月25日、神宮球場で行われたヤクルトvs巨人の一戦は最後まで目が離せない展開となった。巨人は急遽登板となった澤村拓一、ヤクルトは5勝目を狙う小川泰弘の両投手が先発。試合は初回から点の取り合いとなり、最後までもつれる展開になることが予想された。
神宮球場での有観客試合はその7月25日で2ゲーム目。時折、小雨が降る中、グリーンカラーのユニホームやポンチョ(雨具)を来たファンが球場全体を彩る。ただ、観客のほぼ全員がマスクを着用し、声を出さずに手拍子で応援するという今までにない観戦スタイル。
守備につく選手が投手を励ます声、ベンチから打席に立つ選手を鼓舞する声、キャッチャーが補球した時の響き渡る音、審判のコールする声、5,000人とは言えこれだけ人がいる中、今までに感じたことがない球場での感覚であった。そんな中、好調な両チームの選手達はこの一戦を落とすまいと必死だった。
前日まで3.5ゲーム差の1位と2位直接対決であり、巨人は唯一ヤクルトに勝ち越せておらず、ヤクルトはまだ前半戦とは言えこれ以上離されたくないところである。
試合は巨人丸佳浩とヤクルト青木宣親のHRで初回から動くも、一点差のまま中盤まで進行。5回裏ヤクルト山崎晃大朗がライトへタイムリーを放ち、巨人亀井善行の後逸もあり、ヤクルトが2点追加して一時突き放した。しかし、巨人も粘りを見せ6回には丸佳浩が今日2本目のHRで1点を返すと、その後ヤクルト投手陣をとらえ、9回表には代打陽岱鋼の犠牲フライで同点に追いついた。
9回裏、同点に追いつかれたヤクルトはこの回先頭の3番青木宣親がセンターオーバーの2塁打で出塁すると、4番村上宗隆は申告敬遠、5番山﨑晃大朗が見事送りバントを決め1アウト2・3塁の絶好のチャンス。巨人は続く6番エスコバーを敬遠し満塁策を選択。1点入ればサヨナラの緊迫した場面、神宮球場に代打“川端慎吾”の名が告げられた。
巨人内野手は1点もやれない前進守備。しかし、川端慎吾はその巧みなバットコントロールで三遊間を抜くヒットを放ち、緊迫した試合に終止符が打たれた。
椎間板ヘルニアの影響によりここ数年満足した成績を残せていないヤクルト川端慎吾。2015年の首位打者と最多安打のタイトルホルダーは、オフに腰の手術を行い、今季完全復活を目指していた。オープン戦にも出場せず戸田球場(ヤクルトファーム本拠地)で調整を続けながら、若手の台頭を目の当たりにして、厳しい状況でも“強靭な向かい風は背中で受け止めて 追い風にすればいいさ!!”と心に誓っていたに違いない。
川端慎吾はまだ32歳。そのバッティング技術は左右ピッチャー関係なく、今後もヤクルトスワローズの大きな戦力だ。代打起用だけに留まらず、是非ともレギュラーに返り咲いてもらいたい。
公開日:2020.07.27