Bリーグ出身選手として日本人初のNBAデビューした河村勇輝! 激動の1年目をプレイバック!【バスケ/Bリーグ】

グリズリーズとツーウェイ契約した2024-25シーズン

今シーズン、Bリーグ出身選手としては日本人史上初のNBAデビューを飾った河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)の1年目が終わった。シーズン最終戦となった4月14日のマーベリックス戦では28分間の出場で12得点、5アシスト、5リバウンドとNBAにおけるキャリアハイを記録。全米を熱狂させた「ミラクルノールックパス」も披露するなど渡米2年目となる来シーズンへ向け、最後の最後で確かな手応えも掴んだが、改めて河村勇輝が歩んだ2024‐25シーズンを振り返ってみよう。

2024年9月6日にグリズリーズとエグジビット10契約で合意した河村だが、この時点でNBAで「生き残れるか」どうかは未知数だった。Bリーグでは数々のタイトルを手にし、日本代表でも主力を張る河村だったが、NBAは「別次元」。身長172センチは現役NBA選手としてはもっとも低く、すでにNBAで確固たる地位を築く八村塁(レイカーズ/203センチ)や、2023‐24シーズンまでNBAでプレーした渡邉雄太(グリズリーズほか/206センチ)と比較してもサイズ、プレースタイルは大きく異なる。同タイプの日本人NBAプレイヤーと言えば田臥勇太(サンズ/173センチ)だが、河村同様、日本で無双した田臥がNBAでプレーできたのは1シーズン限りで、4試合、7得点3アシストのみ。

そんな前例を踏まえても、河村の「挑戦」には不透明な部分が多かったはずだ。事実、開幕前の時点ではシーズン中の日本復帰の可能性も、決して低くはなかった。

しかし、河村はそんな周囲の不安の目を、実力で覆す。プレシーズンマッチ出場後の10月19日にはチームとツーウェイ契約(NBAと下部リーグチームの両方と契約できる制度)を結び直し、開幕ロースターにも生き残る。そして10月26日のロケッツ戦で、田臥、渡邊、八村に続く日本人4人目のNBAデビューを果たし、11月6日のレイカーズ戦では初得点。

「極東からやってきた小さな日本人」のプレーはメンフィスのファンを虜にし、少ないプレータイムながらコートに上がると大歓声を浴びた。また、チームメイトでリーグを代表するスター選手でもあるジャ・モラントとの仲睦まじい様子はSNSでも拡散され、NBAファンの脳裏に「YUKI KAWAMURA」の名前をキッチリと刻み込んだ。

NBAでのプレータイムは限られたが、下部組織Gリーグのメンフィス・ハッスルでは“違い”を見せるプレーを披露。NBAとGリーグの両試合に帯同する“親子ゲーム”も経験し、チームの中心選手として躍動した。

まだシーズンが終わったばかりで、2025‐26シーズンの動向は不明だが、最終戦での起用法や活躍を見る限り、グリズリーズとの契約更新の可能性は低くない。もちろん、NBAの限られたロースターには「枠」の問題もある。オフシーズンの移籍、補強次第では他クラブでのプレーを選択する可能性も否定できないが、河村なら渡米1年目の確かな手ごたえを、来シーズンへ活かしてくれるはず。

2025‐26シーズン、世界最高峰のNBAの舞台で、河村がさらに躍動する姿を期待したい。

文・花田雪

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