アユの香り=加齢臭!? 「清流の女王」に隠された意外な真実【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】

キュウリのような香り「ノネナール」

きれいな河を好み、「清流の女王」と呼ばれるアユ。秋に生まれて海に下り、成長するとまた河に戻ってくる回遊魚です。初夏に旬を迎え、アユ釣りは夏の風物詩ともされています。 

アユには「香魚」という別名があるのをご存じでしょうか。とれたてのアユはさわやかな香りがすることで知られ、その香りはキュウリやスイカ、メロンにもたとえられます。味わいだけでなく、その香りによっても昔から人々の心を惹きつけてきました。河魚といえば、一般的には「臭みが強い」というイメージもあることから、不思議な印象を持たれるかもしれませんね。 

しかし、このさわやかなアユの香りの成分が、意外なにおいと共通しているというのです。それは人の加齢臭

いわゆる「加齢臭」の主成分は、皮脂が酸化してできる「ノネナール」という物質です。青臭さの混じるにおいが特徴のこのノネナールが、アユのにおいのもとのひとつでもあるというわけですから、ちょっと驚きですよね。

アユの独特の香りは、かつてはエサとなるコケなどの藻類によるものだと考えられてきました。しかし研究が進み、今ではアユ体内の不飽和脂肪酸(魚の脂に多く含まれる、脂肪の構成要素)が酵素によって分解され、最終的にこの成分になるとわかっています。

アユと加齢臭に共通する「ノネナール」

キュウリやスイカのような香りのよさから「香魚」と呼ばれるアユ。
実はその香り成分のひとつ「ノネナール」が加齢臭の主成分と共通している。

藻を食べるのに適したアユの口

アユは河では石などに生えるコケなどの藻類を食べて暮らす。コケをはぎ取るように食べるため、それに適した口を持つ。石には「食み跡(はみあと)」と呼ばれる跡が残る。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん

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食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。

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