人の肌を食べるのは生き残るためだった!? ドクターフィッシュの驚きの生態【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


温泉環境に適応した生存戦略
水族館や温泉施設の体験コーナーで、水に入れた手や足に群がる「ドクターフィッシュ」。人の皮膚の古い角質を食べるという珍しい習性を持つ魚です。
正式名称は「ガラ・ルファ」。歯を持たず、肌を傷つけることなく不要な角質を除去してくれることから美容や治療に役立つとされ、「魚のお医者さん」という意味の通称がついたのです。実際、ドイツでは皮膚病の治療法として医療行為として認められているのだとか。では、なぜ人の角質を食べるのしょうか。
ドクターフィッシュは、もともとはトルコなどの河に生息する淡水魚です。魚には珍しく、水温37度ほどの高温の水中でも生息できます。雑食で、自然環境では石や岩についた藻類や河底の微生物をエサとしていますが、水温の高い温泉ではコケやプランクトンが十分になく、エサが不足しがちに。そこで、人間の皮膚がドクターフィッシュのごちそうになるのです。
一方で、生後2年程度を過ぎる成魚は角質を食べることはほとんどなくなるのだとか。角質をついばむのは、子ども時代のやむにやまれぬ生存戦略といえるでしょう。
なお、皮膚の傷からウイルスが侵入し、感染症が広がるリスクも指摘されており、衛生管理には注意が必要です。
「フィッシュセラピー」で心身が癒される!?
皮膚の余分な角質を除去するマイルドなピーリング効果のほか、小刻みについばむときの刺激により、マッサージ効果やリラクセーション効果も期待できるといわれる(注:医学的根拠が確立されていないという説もあり)。

やむを得ず人の皮膚を食べていた?

ドクターフィッシュ(ガラ・ルファ)は、本来は藻や微生物を食べる雑食の魚。しかし、温泉などではエサが不足しがちになるため、やむを得ず人の角質を食べるようになったという。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
「クジラ界にも「ヒット曲」があり、世界中の海で流行る」などなど
そんな魚のあらゆる疑問や意外な生態、誰かに教えたくなる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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