【LURF GALLERY】アーティスト前田信明と谷崎一心による二人展「呼吸する絵画 ―交差と渦」を2025年8月2日(土)よりルーフギャラリーにて開催


■ 展示詳細
呼吸する絵画 ―交差と渦:前田信明 × 谷崎一心 会期|2025年8月2日(土) ~ 9月1日(月) 会場|LURF GALLERY 1・2F 時間|11:00 - 19:00 住所|150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1 入場|無料 LURF GALLERY 公式サイト 以下は、本展のために美術史家・美術評論家の菅 章氏よりご寄稿いただいた文章です。 呼吸する絵画 Breathing Paintings Cross / Vortex―交差と渦:前田信明 × 谷崎一心 絵画は、描かれたもの以上のものを語る。素材の感触、支持体との摩擦、重ねられた絵具の呼吸。その物質性のなかに、絵画は「気配」や「間」、あるいは「奥行きなき奥行き」とも呼べる何かを宿し、観る者をその内側へと導いてゆく。 本展では、前田信明と谷崎一心という、異なるアプローチで絵画の根源に向き合ってきた二人の画家を紹介する。前田は水性アクリルを用い、水平と垂直の構造を基軸に、幾度も薄く塗り重ねることで、色彩の層を時間の堆積として現前させる。そこには、見る者の呼吸と共鳴するような静けさと、無限にひらかれた空間の感触がある。一方の谷崎は、油彩の厚みと渦状の筆致を通じて、絵具がまだ乾かぬうちに次の層が塗られ、混ざり、滲み合う即興的な身体性をもって画面を生成していく。絵画とは思考ではなく、呼吸と渦動のうちに生まれるものだと語るように。 両者の画面は対照的でありながら、奇妙に響き合う。前田の絵画における「重力=垂直線」と「世界の広がり=水平線」は、宇宙的なスケールでの「交差(Cross)」を象徴する。一方、谷崎の筆跡は、生成の過程そのものを包みこむ「渦(Vortex)」として立ち現れる。前者が透明な層によって内なる静寂を蓄積していくとすれば、後者は絵具の即興的な流動によって視覚の臨界を切り開いていく。 どちらも、いわゆる絵画の再現性や物語性からは遠く、また1980年代以降のニュー・ペインティングやシミュレーショニズムが提示した消費的なヴィジュアルの奔流とも距離をとっている。むしろ、素材と身体との関係、画面における時間の生成、そして見ることの根源的経験に賭けているという点で、この二人は「困難な絵画」の現代的な可能性を静かに切り拓いているといえる。 本展のタイトルである「呼吸する絵画」は、そうした絵画の根源的な営みに焦点を当てたものである。絵画がただ視覚的に「見られる」ものではなく、身体と空間のあいだに「呼吸する場」として存在すること。その時間的厚みと空間的ひらきこそが、前田と谷崎の作品に共通する最も深い地平である。そして「Cross / Vortex――交差と渦」という副題は、彼らの画面にあらわれる構造的・身体的運動のちがいと、その出会いを指し示している。 ここに展示された作品は、ひとつの完成されたイメージというよりも、いままさに「なりつつある」絵画の呼吸に開かれている。空間に静かに漂いながら、見る者の呼吸と交錯し、渦を巻きながら、深い内奥へと導いてゆく。 (菅 章|美術史家 美術評論家)



■トークセッションのお知らせ
本展を記念し、美術史家・美術評論家の菅 章氏、ポーラ美術館主任学芸員の内呂博之氏をお招きし、本展示作家2名とのトークセッションを開催いたします。 トークセッション 登壇|菅 章(美術史家・美術評論家) / 内呂博之(ポーラ美術館主任学芸員) / 前田信明 / 谷崎一心 日時|2025年8月2日(土) 15:00 - 16:30 会場|LURF GALLERY 2F 住所|150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1 入場|無料 ※ 当日は席に限りがございますため、立ち見でのご聴講をお願いする場合がございます。 ※ 混雑の状況により、入場を一時制限させていただく場合がございます。■ プロフィール
前田信明 | MAEDA Nobuaki 1949年、熊本県出身、同地在住 中学・高校の美術教諭を経て、九州産業大学造形短期大学部特任教授を務めた。自らが立つ大地によって、重力という垂直性、地平・水平線という世界が続いていく感覚。その広がりの空間による純粋抽象を一貫して追究。1970年の第10回東京ビエンナーレ東京都美術館「人間と物質」にて美術家・田中信太郎のアシスタントとして参加、成田克彦をはじめ、もの派や前衛作家と出会う。1975年、サトウ画廊(東京)にてシェイプト・キャンバスの純粋抽象絵画で初個展。GALLERY SHILLA(大邱、ソウル)の所属作家として、おもにアジアを中心に多くの個展やグループ展を開催。 -主な個展- 1975 サトウ画廊 / 東京にてシェイプト・キャンバスの純粋抽象絵画で初個展 1984 銀座絵画館 / 東京 1995 熊本県立美術館 / 熊本 同, 1998, 2003 2000 久我記念美術館 / 福岡 2008 調布画廊 / 東京 2012 宇久画廊 / 福岡 同, 2015 2013 KID AILACK ART HALL / 東京 2013 ギャラリー尾形 / 福岡 2014 the bridge / 大分 2016 GALLERY SHILLA / 大邸・韓国 2022 GALLERY SHILLA - SEOUL / ソウル・韓国 2022 ART SPACE はね / 熊本 2023 -BLUE’S RECENT WORKS - Contemporary HEIS / 東京 2024 -HARAJUKU PROJECT 2024 - GALLERY KTO / 東京 2024 GALLERY SHILLA-SEOUL / ソウル・韓国 2025 垂直と水平 - VERTICAL AND HORIZONTAL Gallery Cocon 古今 / 東京 2025 浸透する色彩 - Permeating Color, 2025 Contemporary HEIS / 東京, TEZUKAYAMA GALLERY / 大阪 -近年の主なグループ展- 2002 20世紀。美術は虚像を認知した-モナ・リサとマンモンのあいだで- (平塚市美術館 / 神奈川) 2003 水平の衝撃 (神奈川県民ホールギャラリー / 横浜) 2005 ゼログラフィーと70年代 (Art Space by Fuji Xerox / 東京) 2006 現代美術の還元と拡散展 (HANGARAM MUSEUM / ソウル・韓国) 2009 メリー・ゴー・ラウンド-煌めきと黄昏- (熊本市現代美術館 / 熊本) 2013 ‘TETRAHEDRON’ YAS-KAZ+山木秀夫+前田信明 (KID AILACK ART HALL / 東京) 2013 Media City-Daegu / Urban Montage (Daegu Art Factory / 大邸・韓国) 2015 版画コレクションのあゆみIII―コピー・アートの時代― (Fuji Xerox Art Space / 横浜) 2016 複製技術と美術家たち-ピカソからウォーホルまで (横浜美術館 / 横浜) 2019 前田信明+岸本吉弘 新作展 (ギャラリー尾形 / 福岡) 2019 2019 Summer/Autumn6・Six Crash (熊本県立美術館分館、熊川宿若狭美術館 / 福井) 2021 “Beyond the Canvas” 桑山忠明+鈴木 隆+前田信明 (GALLERY SHILLA / 大邸・韓国) 2021 -不思議な部屋- 倉重光則+前田信明+星加民雄 (熊本市現代美術館 / 熊本) 2022 アートフェア東京2022 桑山忠明+前田信明 (Contemporary HEIS・東京国際フォーラム / 東京) 同、2025 2022 IMPRESSION OF MONOCHROME 桑山忠明+前田信明 (Contemporary HEIS / 東京) 2022 Ideas and Minimal Art (GALLERY SHILLA / 大邸・韓国) 2022 −もの派からミニマルへ− 成田克彦+前田信明 (Contemporary HEIS / 東京) 2023 NEXT 30 : PART 2“International” (GALLERY SHILLA-SEOUL / ソウル・韓国) 2023 美の鼓動・九州 / たいせつなあいまいさ (九州産業大学美術館 / 福岡) 2024 祈りのかたち ― 小川佳夫、平野泰子、前田信明、加藤舞 キュレーター大島徹也 企画 MARUEIDO JAPAN (古美術長野 / 東京) 2024 -25 カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ (ポーラ美術館 / 箱根) Instagram|@nobuaki_maeda4649 谷崎一心 | TANISAKI Isshin 1974年、福岡県出身 谷崎一心は、「生命のエネルギーや循環」をテーマに、エネルギーの動きの象徴として、色彩とテクスチャを組み合わせた渦を描き、生命のエネルギーを表現している。 谷崎は2000年初頭から、渦の原点でもある細かなドットの集積による自然風景を発表してきた。渦を森羅万象を象る根源として位置づけ、渦による世界をミニマルに表現することで、エネルギーの動きにより生じる私たちの生命、そして日常世界や宇宙の成り立ちについての考察を行っている。 -個展- 2018 「Painting」(Luca Scandinavia、東京) 2022 「光陰」(Lurf MUSEUM、東京) 2023 「Vortex 渦」(Lurf MUSEUM、東京) 2024 「Vortex, Memory of Color」(Dansk Mobelkunst Gallery、コペンハーゲン) 2024 「Cycle of Energy」(銀座 蔦屋書店 FOAM CONTEMPORARY、東京) 2024 「Creation of Image」(LURF GALLERY、東京) -グループ展- 2024 「ART CONNECT」(BONDED GALLERY、東京) Instagram|@isshintanisaki_official ※ 「崎」の漢字は「たつさき」■ 展示作品の販売について
2025年8月2日(土)11:00よりLURF GALLERYの会場にて作品購入の申込を受付いたします。 ※プレセールスの状況により会期前に一部作品の販売が終了することがございます。LURF GALLERY(ルーフギャラリー)
ルーフギャラリーは、現代社会の日常に潜む内面を、それぞれのスタイルで鋭く表現するアーティストたちを発掘・紹介し、同時代美術におけるひとつの潮流を提唱することを目的として、2022年に代官山で開廊しました。
近代リアリズムが追求した人間の存在と社会の現実、また現代抽象が掘り下げた精神的・構造的探究などに関心をもちながら、モダンからコンテンポラリーへと続く美術の流れに敬意を払いつつ、時代の気配を繊細にとらえる感性をもつアーティストたちに光を当てています。国籍やキャリアの枠にとらわれず、国際的な視点から、多様で本質的な表現を探究するアーティストをサポートしていきます。
私たちは、こうした活動を通じて、現代社会を反映した、美術の普遍的な流れを紹介していくことを目指しております。
営業時間:11:00-19:00 ※不定休
住所:150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1 1F・2F
アクセス:代官山駅から徒歩5分 【GoogleMap】
■ Website
https://lurfgallery.com/
■ Instagram
https://www.instagram.com/lurfgallery/
■ X
https://x.com/lurfgallery
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