アイヌ以外にも北海道に住んでいた『謎の海洋民族』とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

12世紀頃に消えたオホーツク文化

北海道の先住民族というと、アイヌ民族を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、昔の北海道には、アイヌとは異なるルーツや文化を持つ人々も暮らしていました。

約3万年前の後期旧石器時代、北海道はまだユーラシア大陸とつながっていました。その頃、シベリアからマンモスやオオツノジカを追ってやってきた人々が、北海道に最初に住んだと考えられています。その後、約1万2000年前に氷河期が終わり気候が暖かくなると、本州からも人々がやってきて、津軽海峡を挟んで北海道と東北北部に縄文文化が広がりました。この縄文人が、アイヌ民族の祖先と考えられています。

時代が進み、5世紀頃(本州が古墳時代だった頃)、サハリン南部や北海道の北部・東部、南千島のオホーツク海沿岸に、オホーツク文化が生まれました。この文化を作ったのは、サハリンから来た海の民で、狩猟や漁業を主に暮らしていました。彼らは「謎の海洋民族」とも呼ばれ、詳しいことはまだよくわかっていません。現在、ロシアの少数民族であるニブフの祖先だったという説が有力です。

ただ、10~12世紀頃になると、オホーツク文化は、北海道や東北北部に広がった擦文文化(アイヌ民族の祖先が作ったとされる文化)に吸収されるようにして、だんだん姿を消していきました。

謎の海洋民族「オホーツク人」とは?

アイヌに引き継がれたとされる信仰

オホーツク人は、5世紀頃にサハリン(樺太)から北海道のオホーツク海沿岸にやってきたと考えられています。海洋漁労の民族で、犬や豚の飼育をしていたほか、大陸の靺鞨(まっかつ)(6世紀後半~8世紀にかけて中国東北地方に居住していたツングース系民族)とも交流がありました。また、熊を神聖視するなど動物祭祀の文化があり、この信仰はアイヌ文化に影響を与えたと言われています。

北海道の略年表

トビニタイ文化

9~13世紀頃にかけてオホーツク海沿岸に広まった、オホーツク文化と擦文文化が融合して生まれた文化。13世紀初め頃に、擦文文化に混ざっていき消えてしまったと考えられている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』監修:和田 哲

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』
監修:和田 哲


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