クマはなぜ群れないのか? ずっとひとりで生きていくクマの生態【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】


クマの一生は基本的に“ひとりぼっち”
親に甘えられるのは2歳まで
クマは一生の大半をひとりぼっちで過ごす動物です。多くの哺乳類が群れや家族単位で行動するのに対し、子グマ時代を除いて基本的に単独で生活します。
オスもメスも関係ありません。クマはそれぞれ自分の生活場所を持ち、エサを探したり眠ったり、あるいは危険に対処したりといった毎日行動すべてを自らの力だけでこなしています。オスとメスが顔を合わせるのも繁殖期のわずかな間だけ。交尾が終われば、それぞれすぐにもとの生活へと戻っていきます。
メスは冬に巣穴で出産すると、春先には小さな子グマと一緒に活動をはじめます。この子育て期間も1年半から長くて2年半ほど。子グマを自立させると再びひとりぼっちに戻ります。ちなみに、オスは子育てにまったく関わりません。
一見して孤独に思えても、自然界では群れないことが生きやすさにつながる場面が多くあるものです。たとえば、クマは巨体を維持するため大量の食べ物を必要としますが、単独で行動することでエサの奪い合いを避けられます。ほかにも、自分のペースで活動できるといった利点もあります。つまり、クマにしてみれば合理的な生活スタイルを貫いているだけなのです。それは厳しい自然を生き抜くため、彼らが身につけた知恵といえるでしょう。
クマの一生(ツキノワグマの場合)

繁殖期にはオスはメスを求めて行動範囲を広げ、複数の相手と交尾をする。
■ 子育て期
・年齢:0歳〜
・内容:ツキノワグマの子は、生後1年半ほどは母グマと一緒に暮らす。
■ 自立期
・年齢:1.5〜2歳から
・内容:母グマが繁殖期を迎えると、子は自立して単独生活に入る。
■ 単独生活期
・年齢:2〜4歳から
・内容:若グマは生きるためのすべを学びながら、少しずつ自立の道を歩みはじめる。
■ 繁殖期
繁殖期にはオスはメスを求めて行動範囲を広げ、複数の相手と交尾をする。
群れをつくらないメリット
メリット①

エサの取り合いといった、無益な争いを極力避けられる。
メリット②

1頭だと、自分の好きなペースで自由に活動できる。
例外も……
サケが川に戻る秋になると、複数のヒグマが同じ場所に姿を現します。これはグループ行動ではなく目的が同じだけ。なるべく無用な争いは避け、互いに適度な距離を保ちながら獲物を狩ります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司
世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物です。
しかし、ペットとして飼うことは難しく、ときに人を襲う恐ろしい側面も持ち合わせるクマ。
それなのになぜ人間にとって馴染み深く身近な存在に感じるのでしょうか。
「クマは大体力士2人分の重さ」「死んだふりは意味ある?クマに出会ったときの対処法」
「ホッキョクグマは皮膚が真っ黒で毛が透明?」「年々増加している“新世代クマ”って!?」
「イエティとビッグフットの正体はクマ?」
愛玩動物、猛獣、食用、ワーキングアニマルなど、さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫ります。
これを読めばクマのことがもっと好きになること間違いなしの一冊です。
この記事のCategory
オススメ記事

クマの乳首は6つ、パンダは4つ? 人間に近いようで全然違うクマ科の特徴とは【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

体重は力士2人分!? クマの驚異の巨体とパワーとは!【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

南半球にはクマはほとんど生息していない!? クマたちの主な生息地とは【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

宇宙医学の研究対象にもなってる!?クマは超ハイスペックなヤバい動物【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

実はクマは世界に8種類しかいない!? “クマ”とつくけどクマじゃない動物たち【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

数十年前に人間のせいで絶滅してしまったクマがいる!?【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】
