なぜ古代エジプトでは統一と崩壊を繰り返したのか?【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

【第1中間期・中王国時代・第2中間期】エジプト王権は内乱・再統一を繰り返していた
地方都市中心から再び中央集権に
第6王朝のペピ2世の60年にわたる治世後、古王国時代は幕を閉じます。地方の支配者が勢力を伸ばし、エジプト南部のヌビアや紅海沿岸で反乱が起きるなど国内外の情勢は不安定でした。この時代を第1中間期といいます。ただし、地方都市は発展し、市街地や街路が拡大。交易も活発でした。中王国時代の最初に首都となるテーベは、上エジプト地域を徐々に統合し、ヘラクレオポリスの町を中心とする王朝に並行して、独自の王朝を建てます。二つの王朝は対立してやがて内戦へと発展しました。
この対立に終止符を打ったのが、第11王朝のメンチュヘテプ2世です。彼はエジプトを再統一し、中王国時代が始まります。王族を中心とするテーベ出身者が行政の要職を占め、再び建築活動がさかんになりました。古くからの首都メンフィスで栄えた芸術様式も再興します。
第12王朝のアメンエムハト1世は王位継承の正統性が弱かったので、その地位を確固たるものにする諸策を講じました。ファイユームの近くに新都イチ・タウイを建設したのも、その一つ。さらに王位継承を確かなものにするために、息子のセンウセレトを共同統治者にしました。センウセレト3世は、エジプト全土を統治しやすいよう首都ファイユーム近郊に移しますが、第13王朝になって地方勢力が再び台頭。異民族王朝も出現して、国は分裂し、第2中間期へと移っていきます。
メンチュヘテプ2世の再統一と大規模建築の復活
再統一王メンチュヘテプ2世の治世の建造物は、大規模建築が隆盛を極めた古王国時代を彷彿とさせる。

第2中間期の主役「ヒクソス」
第2中間期、エジプト北部は西アジア系の異民族「ヒクソス」の支配下に置かれる。最近の研究では、軍事力で征服したのではないとされている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
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