オバマ政権のクリーンパワー計画を撤廃
2017年3月、トランプ大統領はオバマ前大統領が進めてきた地球温暖化対策を見直す大統領令に署名しました。
トランプ大統領は2016年の大統領選期間中は「気候変動はでっち上げ」と発言しましたが、その後は発言を修正しました。とはいえ、アメリカ政府がまとめた気候変動にまつわる報告書を「信じない」としています。
オバマ政権は2020年以降の気候変動問題にまつわる「パリ協定」に対応するため、発電所からの二酸化炭素の排出量を規制する「クリーンパワー計画」を2015年から施行していました。
しかしトランプ大統領が署名した大統領令にはこの規制の撤廃も含まれていました。
大統領令が効果を発揮するには時間がかかる
トランプ大統領は化石燃料を推進することで、国内のエネルギー生産を前進させることができるとしています。
その裏ではトランプ大統領と石油、石炭産業との癒ゆ着ちゃくが指摘されています。大統領選で大口の政治献金を行った企業は石炭採掘会社だったことも明らかになっています。
トランプ大統領にとっては地球温暖化よりも、自国の化石燃料産業の活性化のほうが優先のようですが、発令した規制の見直しについては手続きが必要で、実際、効力が発揮されるまでには時間がかかります。
パリ協定からの脱退も表明しているトランプ大統領ですが、世界経済の主流は自然派エネルギーの転換や省エネ推進です。大統領の規制はむしろ、アメリカが世界から取り残され、経済力を後進させることも考えられるのです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地政学の話』
著:荒巻 豊志
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公開日:2020.11.16
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