ピラミッドはなぜ建てられた?【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

ピラミッドはなぜ建てられた?
時代によって意味が違った
古王国時代の第3王朝では、ファラオは現人神であるとされました。そして、ジェセル王は王墓を、現人神が来世に昇天するための特別な階段の下に設けるかたちで、巨大な階段状のピラミッドを建設します。王が絶対的な存在であることを示したのです。第4王朝になると太陽神ラーの影響が強くなり、王は太陽神ラーの化身とされます。スネフェル王は、ピラミッドを「天に昇る階段」から、「太陽の光を象徴する形」に改め、初めて四角錐の真正ピラミッド建設に成功しました。
ヘリオポリスの創世神話では、世界は太陽神によって創造され、生命が与えられて宇宙の秩序が保たれるとしています。その信仰によって、ピラミッドは王として現れた太陽神ラーの巨大な記念物であると考えられました。人々は神の化身である王を崇めつつ、建設という一大プロジェクトに加わったのでしょう。クフ王の大ピラミッドと周囲に整然と並ぶ高官たちの長方形のマスタバ墓群の様子は、当時の中央集権的な秩序を示しているようです。
第5王朝では、王は「太陽神ラーの息子」であるとされます。太陽神ラーとの関わりを示すために、王たちはピラミッドの周りに、ほぼ同規模の「太陽神殿」を建設し、ピラミッドは信仰の中心となる複合施設の形へと発展していきました。
階段ピラミッドはこうして生まれた
最初は1層のマスタバ墓だった
マスタバは第1王朝に生まれた墓のスタイルで、王墓もこの形だった。のちに高官や貴族の墓の形式になる。

ジェセル王のピラミッド複合体の配置
ジェセル王のピラミッドは、死後は北天の星として復活するという信仰のもとに設計された。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
ピラミッドはなぜ造られたのか?
ミイラにはどんな技術が使われていたのか?
そして、古代エジプト人は何を考え、どんな毎日を送っていたのか――?
いまだ多くの謎に包まれ、世界中の人々を惹きつけてやまない古代エジプト文明。
本書では、最新の考古学研究に基づき、ピラミッド建築の真実、ミイラ作りの驚くべき技術、今なお世界中の研究者が追っている次なる謎など、古代エジプト文明にまつわるトピックをわかりやすく図解で解説します。
さらに、ピラミッドや神話だけにとどまらず、古代エジプト人の暮らしや信仰といった生活面にもフォーカス。
食事や住まい、労働の実態、信仰と死後の世界への考え方など、他の入門書ではなかなか触れられないテーマを、学術的裏づけとともに紹介。
最新CTスキャンで明らかになった新事実、多くの説が飛び交ってきたピラミッドの謎、そして文学や詩に込められた古代人の想いまで、読むほどに眠れなくなるほど面白い、古代エジプト入門にオススメの一冊です!
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