スポーツクライミングの魅力のひとつ
スポーツクライミングではただ腕や筋力に頼って、はしごのように登るだけではありません。身体をひねったり、かかとや足の甲を使ったり、手をひねったりと、いろいろな動きを組み合わせて登っていきます。その動きのことを私たちは「ムーブ」と呼んでいます。
この「ムーブ」のパズルピースをどのように組み合わせればうまく登れるのかを、完成させていくのがスポーツクライミングの魅力の1つなのです。また、選手たちは登る前のオブザベーションタイムと呼ばれる下見の時間に、このパズルピースの組み合わせをしっかりイメージして頭に叩き込みます。
ムーブにも流行り、廃りがある
時代とともに新しいムーブが考案されたり、マンガのように逆にあまり使われなくなったりしたムーブもあります。その理由は、やはりオリンピックの競技になったことで「観客を魅せる競技へ」という意識が、非常に多く盛り込まれるようになったからだと思います。以前はより岩に似せたホールドを使い、より岩を登る動きに似せた課題を選手たちに攻略させる課題が多かったです。つまり、ホールドも小さかったり、動きが地味なものが多かったりしました。
しかし現在の課題は、ホールドも大きく、幾何学的でアーティスティックなデザインになり、それに伴い動きもよりダイナミックなものになっていきました。スポーツクライミングを知らない観客の人たちにも、わかりやすく楽しんで観てもらえる競技となっていったと思いますので、ぜひ多くの方に観戦していただきたいです。
裏方のお仕事
選手が表舞台に出ている裏では、ホールドと呼ばれる壁に取り付けられた人工の石を制作するデザイナーと、そのホールドを壁に配置するセッターと呼ばれる人たちが働いています。すでにオリンピックで担当する方も決まっていて、セッターには日本人も入っています。
オリンピックで彼らが一体どんなホールドをデザインし、ホールドをどのように配置して選手を登らせるのか?そんな目線で見てみるのも、また面白みがあるかもしれません。