日々の生活で知らないうちに体はゆがみ、不調の原因になります!
●その痛みやくすぐったさは、ゆがみのサインかも!
体を支え、動かしているのが骨と筋肉です。骨格が正しい位置にあり、骨格を支える筋肉がバランスよく、かつ柔軟性を保ってついていると体はラクに動きます。反対に骨格があるべき位置になく、筋肉が硬くなった状態にあると、無理やり体を動かすことになり、さまざまな部位に負担がかかります。これが、こりや痛み、疲労といった体の不調として現れてくるのです。事実、骨格や筋肉がバランスよく整っている人は、体のどこを押しても痛がったり、またくすぐったさを感じたりすることはありません。くすぐったいのも痛みの一種です。慢性的にもしくは押したときにどこかが痛い、触られただけでくすぐったいという感覚がある人は、体がゆがんでいるサインかもしれません(神経などに持病がある場合を除く)。
●ゆがみは連鎖して引き起こされる
それでは、本来あるべき骨格と筋肉とは、どのような状態をいうのでしょうか。まず骨格から見ていきましょう。上半身には鎖骨、胸骨、肋骨などが、下半身には大腿骨、脛骨、腓骨、足骨などがあり、基本的に左右対称に構成されています。体の中心には背骨が通り、上半身と下半身は骨盤でつながっています。背骨は、横から見るとS字にカーブを描いているのが特徴です。厳密にいうと、頸椎は前カーブ、胸椎は後ろカーブと、頸椎から腰椎にかけてきれいなS字を描いています。人間は2本の足だけで頭や体を支えなくてはならないため、歩くときの衝撃を吸収したり、クッション性をもたせたりするために、背骨がS字になっているといわれています。一方、ゆがんだ骨格は背骨がS字を描いていません。たとえば、首がカーブを描かずに「ストレートネック」になっている。背骨がS字を描かずに一直線だったり、前に丸まったり、後ろにそったりしている。鎖骨や肩甲骨の高さが左右で異なる、肩が片側だけ前に突き出ている。骨盤が傾斜している。すねの骨がまっすぐではなく横に張り出したりしている……。これ以外にも、ゆがみは細かい部分にまでさまざまな形で現れてきます。
こうした体のゆがみは、事故や病気などで起こる場合もありますが、たいていは生活習慣やクセなど日々の過ごし方によって徐々に引き起こされます。また、とくに日常生活に起因する場合、足から骨盤、背中、首の順にゆがむ上行性のゆがみと、反対の順でゆがむ下行性のゆがみがあり、ゆがみは連鎖して起こります。たとえば、足の外側に重心をかけて歩いていると、脛骨、ひざ、大腿骨が外向きに開き、連動して骨盤からその上の背骨までゆがんでいきます。上行性、下行性のゆがみだけでなく、一部のバランスがくずれることで、ゆがみが連鎖的に全身に広がっていく場合は多々あります。
体を支える骨格
このほか、太ももにある骨を大腿骨、すねにある骨を脛骨、腓骨、足首から先の骨を足骨といいます。足骨はかかとからつま先に向かってアーチを描き、歩くときの衝撃を吸収する構造になっています。
【書誌情報】
『ゆがんだ「背骨」の整え方』
著者:栗原隆 「栗原隆ウェルネスクリニック」院長
医師・医学博士。日本医師会認定産業医・健康スポーツ医
体のゆがみの多くは、姿勢や行動のクセによって起こります。肩こりや腰痛だけでなく、不定愁訴や内臓疾患の原因になっているかも。そんな体のゆがみを治す、簡単な体操を紹介する本です。メインはハイハイ体操。一日5分、赤ちゃんみたいにハイハイするだけ。背骨まわりの筋肉のバランスが整い体のゆがみが改善します。肩こりや腰痛などの痛み、猫背やそり腰、おなかぽっこりなどの見た目、冷えや不眠、生理痛などの不定愁訴が改善。それ以外にも、正しい歩き方や組み合わせる体操などを紹介しました。自分のゆがみをチェックして、さっそく始めましょう。
公開日:2021.02.04