参拝作法はなぜ二拝二拍手一拝なの?
神社へのお参りの仕方*は大きく2種類に分けられます。拝殿の前で鈴を鳴らし、お賽さい銭せんを奉納して行なう一般的な方法と、拝殿に昇しょう殿でんして奉呈して行なう正式参拝です。いずれの場合も二 拝二拍手一拝の作法で拝礼をします。より丁寧に行なう場合は、二拝二拍手一拝の前後に会釈(揖といいます)をします。実は近世までは作法が定まっておらず、さまざまな作法で参拝が行なわれていました。そのなかで比較的普及していたのが両段再拝でした。両段再拝とは両段(二度頭を下げること)を二度繰り返すことをいいます。今の作法に倣えば二拝二拝ということになります。
これをもとに明治時代に二拝二拍手一拝の作法が考案され、戦後になってこれが正式な作法として広まったのです。もともと拍手は高貴な人に対して敬意を示す礼法でした。すでに『魏志倭人伝』( 邪馬台国について記された中国の歴史書、3世紀に成立)にも、倭人の礼法として拍手のことが記されています。
貴人に対する礼法としての拍手は平安時代には廃
れてしまいましたが、神社の参拝作法として残り、今に伝わっているのです。伊勢神宮の神職が行なう八開手で という作法は、古代の最高の礼法に由来するものといわれています。今も特殊な参拝法を伝えている神社もあります。出雲大社もその1つで、二拝四拍手一拝が正式な参拝法となっています。なお、参拝の際の拍手を柏手でともいいますが、これは「拍手」の「拍」を「柏」と誤記したことによるとされます。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神社の話』
著: 渋谷申博
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公開日:2021.04.11