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武家の教えがルーツの「前ならえ」「気をつけ」「正座」「起立」の意味とは!?【廣戸聡一ブレインノート】

Text:廣戸聡一

日本人のしつけ

●武家の教えがルーツ
礼儀作法を教える日本のしつけ、たとえば「前ならえ」「気をつけ」「正座」「起立」は、「軍国主義の象徴」などと言われたりもしますが、実際はすべて武家の教えがルーツです。昔も今も身体の構造は変わりませんから、礼儀作法や所作につながることに、古いも新しいもありません。各動作には意味があり、それらを理解した上で行うことが重要です。

●「前ならえ」
脇の下の高さに腕を上げるのは、この高さがもっとも長く腕を出せる位置だからです。そして、手を前の人の首幅に向けて揃えるのは、首幅に合わせることで、自分のいる隊列にしっかりと対応するため。

たとえば、前の人の肩に手をかけて並ぶと、後方の列は、遠心力でどんどん膨らんでしまいます。自分の手を前の人の首幅にして運動軸をそのまま連動して動くと、後ろの人も同じ動きだけで、自分の隊列が狂わないようになっているのです。

●「気をつけ」
体幹に自分の手がしっかりついている状態が「気をつけ」です。身体から手を離すと、無力化を示すホールドアップの姿になります。

●「正座」
骨盤の上に頭蓋が乗っている状態で、軸を作ることを目的とした座り方です。

●「起立」
崩れた体幹を整えるために一度立つ、というのが本来の意味。一度立って、軸の崩れに気がつくようにと促しているのです。

いざとなれば刀を抜ける臨戦態勢

「礼に始まり礼に終わる」。柔道、剣道、空手などの武道でよく使われる言葉です。年齢や実力に関わらず、相手をしてくださった方に、常に感謝と尊敬の気持ちを持ちなさいという教えです。礼をする行為とは、まさに軸を形成することですから、試合前に礼を交わすのは、お互いに軸を作り、闘う準備を整えていることを認め合う儀式なのです。

正座も同様です。武芸者の正座は、膝を合わせず、拳1~2個分ほど開けて腰に両手をかけます。いざとなれば瞬時に立って刀を抜ける状態です。正座からお辞儀をするときは手を前につきますが、刀を抜く右手を左手よりも遅らせてつくことで警戒を保ちます。そして、顔も伏せません。武芸者たちにとって礼法とは、軍事的な法なのです。礼は、互いに臨戦態勢にある間柄だからこそ「無用な諍いごとは慎む」ことを了解し合う瞬間でもあります。暴力と、武術をはじめとする格闘技とを隔てるのは、この魂だと言えるでしょう。

【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!

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