広い肩幅を作る“科学的”最適解!「メロン肩」にはフロントレイズは必要ない!?【鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ】

広い肩幅をつくるには、三角筋を前・中・後に分けて鍛える

三角筋は筋肉痛への耐性が強い

 肩関節を覆うようにつく三角筋は、肩の形をつくる大きな筋肉です。大きく「前部」「中部」「後部」の3つの部位に分かれ、屈曲や内旋、伸展など、それぞれ異なる働きをしています。速筋線維と遅筋線維の割合がほぼ半々というのも大きな特徴です。

 2013年のアメリカ、タンパ大学の研究では、三角筋は筋肉痛への耐性が強く、筋肉痛になりにくいうえに回復が早いことが明らかになりました。一方で、トレーニングで起こるケガの36%は肩に発生するというデータもあり、正しいトレーニングを行うことが必要です。

ショルダープレスはバーベルよりダンベル、座りより立ち

 上図は、2000年にバースキンが行った、筋トレ種目による三角筋の筋電図調査の効果を表したもので、一見して「ショルダープレス」による筋活動が高いことがわかります。ショルダープレスは三角筋中部の筋活動も強く見られることから、三角筋のトレーニングとしては欠かすことができない筋トレ種目といえます。

 また、2013年にはノルウェーのソグン・オ・フィヨーラネ大学から、ショルダープレスで使用する器具と姿勢に関して調査をした研究が発表され、その結果バーベルよりもダンベルのほうが三角筋すべての部位で有意な向上が見られました。さらに、座って行うよりも立って行うほうが三角筋前部で+8%、中部は+15%、後部は+24%の筋活動の向上が見られたことから、三角筋のトレーニングでは立って行う「ダンベルショルダープレス」が推奨されています。

 三角筋前部のトレーニングでは「フロントレイズ」のイメージがありますが、フロントレイズはベンチプレスよりも三角筋前部の筋活動が低いうえに、ショルダープレスはフロントレイズよりも1.41倍の筋活動が見られることから、三角筋前部のトレーニングにはショルダープレスがおすすめです。

サイドレイズは軽めの重量で90度まで肩を広げる

 三角筋中部は肩の広がりをつくり、ボディメイクに欠かせない筋肉です。三角筋中部には「サイドレイズ」(いわゆるラテラルレイズ)および、アメリカ運動評議会のデータでは「45度インクラインロー」が有効です。ただし、三角筋中部のトレーニングとして代表的なサイドレイズは、やり方を間違えてしまうとトレーニング効果が激減してしまいます。肘関節を曲げてしまったり、肩関節に屈曲の要素を加えることで三角筋中部ではなく、前部の筋活動が高くなってしまうのです。よくある形のサイドレイズでは、三角筋中部に刺激を与えるためには適していないのです。

 また、肩関節外転0〜30度の間は三角筋中部よりも棘上筋という筋肉がメインに働くため、サイドレイズを行う際は必ず肩関節回転90度まで肩を広げる意識をもつことが重要です。そして、重量の設定も重要で、肩関節がもっとも安定する「スキャプラプレーン」という、肩甲骨が身体に対して約30〜40度前方に傾いた角度で行うと、重い負荷を扱える一方で三角筋前部の筋活動が高まり、三角筋中部の筋活動は減少してしまうのです。

 そのため、サイドレイズを行う際は重量を軽めに設定して、しっかりと肩関節中間位で外転運動を行う必要があります。しかし、それでは筋肉への刺激が不十分になってしまうため、ショルダープレスもしくは45度インクラインローの後にサイドレイズを行うことをおすすめしています。メカニカルストレスを与えた後にサイドレイズを行うことで、代謝ストレスを最大化させ、筋肥大率を上げることが可能となります。

45 度インクラインロー

インクラインローは反動を使いにくいため、背筋に効かせやすい。

ラテラルレイズ(サイドレイズ)

肩の横幅を強調するため、逆三角形の体型づくりにも直結してくる。

三角筋後部を鍛えるにはマシンでのリバースフライが効果的

 三角筋後部を鍛える種目として有効なのが、「リバースフライ」と「リアラテラルレイズ」、そして中部の筋活動にもなる「45度インクラインロー」です。特にマシンでのリバースフライは三角筋後部の筋活動が高まりやすく、ケガの心配も少ないため「リバースフライマシン」は必須の種目となります。

 2013年のニューヨーク市立大学の研究で、リバースフライマシンを行う際の手の位置で、三角筋の筋活動はどう変化するのかを調査をしたところ、ニュートラルグリップ(縦握り:親指が上になる持ち方)のほうがプログリップ(掌が下になる持ち方)よりも三角筋後部の筋活動が高い傾向にあることがわかりました。これは個人差も大きいため確実とはいえませんが、試しにやってみる価値はあるかと思います。そして、リアラテラルレイズも三角筋後部のトレーニングとして有効ですので、ラテラルレイズと同様、リバースフライでメカニカルストレスを与えた後に、代謝ストレスを最大化させる目的でリアラテラルレイズを行うようにしましょう。

 45度インクラインローに関しては、三角筋中部、後部ともに筋活動が高くなる種目ですので、ぜひ筋トレメニューに加えてみてください。

リアラテラルレイズ

肩の後ろ側を集中的に鍛える代表的な種目。肩関節の安定性アップにも大きく貢献する。

マシンリバースフライ

肩の後ろ側を安全かつ的確に鍛えられる。リア(三角筋後部)トレーニングの王道種目。

【出典】『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男

【著者紹介】論文男(ろんぶんおとこ)
理学療法士。パーソナルトレーナー。現役理学療法士として、小児・スポーツ選手・高齢者のリハビリに従事する傍ら、13年以上の指導経験を生かし、科学的データに基づいたエビデンスレベルの高いトレーニング方法を発信。年間500本以上の論文を読み漁り、最新研究を現場で実践に落とし込む。YouTube 『論文で解決 〜筋肉と栄養を科学する』は登録者23万人以上。3児の父として、忙しいワーカー向けに最短で理想のボディを作るメソッドも開発。筋トレ・栄養・リカバリーを科学的に体系化した指導に定評がある。

【書誌情報】
『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』
著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男


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