”聖母マリアの石”・”フェルメールブルー”とも呼ばれる「ラピスラズリ」の特徴とは?【宝石・ジュエリー図鑑】

写真:BIZOUX
・英語名:Lapis Lazuli
・日本語名:瑠璃(青金石など)
・主な産地:アフガニスタン、チリ、アンゴラ、ミャンマーなど
・モース硬度:5-5.5(ラズライト)
・石言葉:真実、幸運
・誕生石:12月

星空のように見えるひみつ

わずかに紫がかった、深くあざやかな青色。なかにきらめく金の粒子たち……まるで、星がきらめく空や宇宙を切り取ったような姿が印象的です。

ラピスラズリは、いくつかの鉱物が集まって固まったものです。青色部分の多くはラズライト(青金石)、ほかにもソーダライトやアウイナイト(アウイン)も混ざっています。白い部分がカルサイト、金色部分がパイライトです。

青地のラズライトに金色のパイライトが点々と混ざることで、星空や宇宙のような印象を生み出しています。

ラズライトやソーダライトのことをラピスラズリとよぶ場合もあります。


日本でも昔からなじみ深い「瑠璃」

ラピスラズリは人との関わりの歴史も古く、メソポタミアやエジプト、ギリシャなどの古代文明でも大切にされています。

日本でもなじみの深い宝石です。奈良県にある歴史的な宝物庫である正倉院には、ラピスラズリの破片を散りばめた鏡や、ラピスラズリを飾った革の帯があります。

また、ラピスラズリの日本語名「瑠璃」は、紫みをおびた深い青色をさす色の名前「瑠璃色」としても定着しています。

「瑠璃色」は、昔話として多くの人が知るかぐや姫のお話(竹取物語)のなかに「瑠璃色の水、山より流れ出でたり」の一文で登場します。


絵の具としても人気

気品と神聖さにあふれた青色は、いつしか宗教的な意味をもつようになりました。

ヨーロッパでは「聖母マリアの石」などとよばれていました。

ラピスラズリは宝石としてだけでなく、顔料、つまり絵の具として多くの名画で使われています。

深い青色が絵画にあじわいをもたらします。中世ヨーロッパでは、聖母マリアの青いマントなど特別な絵画を描く絵の具として使われてきました。

17世紀に活躍した人気画家、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」では、少女のターバンの部分にこのラピスラズリの青色を絵の具として使っています。

フェルメールはこの青色が好きだったので、いろいろな絵画に使っており、「フェルメールブルー」とよばれています。

イラスト:すぎやままり

ラピスラズリ

写真:BIZOUX

古代エジプトの女王クレオパトラがアイシャドウとして使っていたともいわれています。


話したくなるネタ ツタンカーメンのマスクにも

古代エジプトの王さま「ツタンカーメン」を知っていますか?

1922年に発見されたお墓からは、黄金のマスクをかぶったツタンカーメンのミイラのほか、たくさんの豪華な埋葬品も見つかりました。

そのマスクの装飾には、ラピスラズリのほかカーネリアンやターコイズなど、さまざまな宝石が使われています。

【出典】『宝石・ジュエリー図鑑』監修:BIZOUX(ビズー)/科学監修:小田島庸浩

【書誌情報】
『宝石・ジュエリー図鑑』
監修:BIZOUX(ビズー)/科学監修:小田島庸浩


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