鼻をつまむと味がわからなくなるのは、なぜ?【眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話】

食べ物のおいしさは五感で感じる

食べ物を味わうためにいちばん大事な要素は、舌が感じる味ですが、実はそれだけではありません。味覚はほかの感覚よりも外界の刺激に敏感で、「おいしい」と感じるためには視覚、聴覚、嗅覚、触覚の影響も大いに受けているのです。なかでもニオイがなくなると、甘い・辛いはわかるものの、「おいしい」と感じることが難しくなります。

たとえば、ここにかき氷のイチゴ味とメロン味があるとします。鼻をつまんで2つを食べると、両者とも甘いとしか感じられず、どちらのかき氷を食べているのかは、わからないでしょう。なぜならシロップの香料による嗅覚や、視覚から入る色の情報が欠けてしまうためです。

味にとって、味覚と同じくらい大事なのが嗅覚

鼻腔(びくう)の天井部分にあたる嗅上皮(きゅうじょうひ)には、「嗅細胞」があります。ニオイ物質がこの嗅細胞にふれると、「嗅神経」が起動し、かいだニオイの情報が脳から突き出したニオイを感じる部分「嗅球」とつながります。嗅覚は、その嗅球からのニオイ情報が脳に伝わって感じられています。

風邪を引いて、鼻がつまっているときなどに食べ物の味を感じなくなるのは、この嗅覚がない状態で、味しか感知していないためです。

ヒトは食べ物を口にするとき、鼻でニオイをかぎ、舌で味を感知します。私たちはその両方の刺激を総合的に「味」として感じ取っているため、鼻が詰まっていたり、鼻をつまんでニオイの感覚がなくなると、味にも影響を受けてしまうのです

嗅覚が生み出されるメカニズム

空気と一緒に鼻腔に入ったニオイ物質が嗅上皮に届くと、嗅細胞が電気信号をつくり、嗅球に送る。嗅球のなかにある僧帽細胞がその信号を脳に届け、嗅覚が生まれる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』監修:坂井建雄

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
監修:坂井建雄


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