「1人の時に急変したらどうする?」プロの訪問看護師が教える適切な急変対応【訪問看護のアイデア帖】

【訪問看護の働き方】「急変対応」

1人で対応する訪問看護だからこそ不安を抱えやすい急変対応。
ここでは、もしも療養者が急変したときの各方面への対応を紹介します。

患者が急変した時は?

訪問中に療養者の状態が急変することは、訪問看護師にとって最も緊張する場面の一つです。

急変時は、療養者の命に関わる状況であり、また家族の精神的な負担も大きくなります。療養者や介護者の意向を尊重しつつ、主治医との緊密な連携と冷静な判断が求められます。日頃から緊急時の連絡体制や手順を確認し、いざという時に備えておきましょう。

1.まずは落ち着いて状況をアセスメント

以下のことを確認し、状況を把握しましょう。

【安全確保】

まずは療養者自身の安全を確保します。転倒しそうな場合は支えたり、危険な場所にいる場合は移動させたりします。

【意識・呼吸・循環の確認】

意識レベル、呼吸状態(呼吸の有無、回数、深さ、努力呼吸の有無)など、循環状態(脈拍、皮膚の色、冷汗など)を迅速に確認します。

【バイタルサインの測定】

具体的にどのような症状が出ているのか(胸痛、呼吸困難、意識障害、けいれんなど)、いつから、どのように変化しているのかを詳細に観察します。介護者がいれば、その方からの情報も重要です。

【症状の観察】

具体的にどのような症状が出ているのか(胸痛、呼吸困難、意識障害、けいれんなど)、いつから、どのように変化しているのかを詳細に観察します。介護者がいれば、その方からの情報も重要です。

【既往歴・内服薬の確認】

療養者の既往歴や現在内服している薬、アレルギーの有無なども、対応を考える上で重要な情報です。

2.療養者・介護者の意向の確認と尊重

最も重要なのは、療養者本人や介護者が、急変時にどのような対応を望んでいるかを事前に把握しておくことです。「救急搬送は希望しない」「自宅での看取りを希望している」といった明確な意思がある場合は、それを最大限に尊重した上で対応を判断します。

「リビングウィルやエンディングノートの有無や内容」
「かかりつけ医やケアマネジャーと共有されている急変時の対応方針」
「介護者がどこまで対応を希望しているか」は、
事前に把握しておきましょう。事前確認済みであっても、急変という緊急事態の中では、介護者の気持ちが揺らぐこともあります。可能であれば、その場であらためて意向を確認し、変化がないかを確認することも大切です。

3.各所への連絡と指示受け

療養者・家族の意向を踏まえた上で、主治医と連携を図ります。

【主治医への連絡】

最優先で療養者の主治医に連絡し、現在の状況を正確に報告し、指示を受けます。主治医は、療養者の病状を最もよく把握しており、緊急時の対応についても最終的な判断を行います。

報告内容のポイントは
「いつ、どこで、誰が、どのように急変したか」
「現在の療養者の意識レベル、バイタルサイン、具体的な症状、実施した応急処置の内容」
「療養者や介護者の急変時の対応に関する意向」
「緊急性があるかどうかの判断(例:救急車を呼ぶべきか、緊急の臨時往診が必要か、訪問看護師による処置で対応可能か)」
などになります。

主治医からの指示は、必ず復唱して確認し、メモを取ります。

【救急要請(119 番)の判断】

主治医の指示、あるいは療養者や介護者の意向、そして生命の危機が差し迫っていると判断した場合(意識がない、呼吸が停止している、重篤な胸痛がある、大量出血しているなど)は、迷わず119番に電話し、救急車を要請します。救急隊には、状況を簡潔かつ正確に伝え、指示に従います。療養者や介護者が救急搬送を強く希望しない場合でも、医療介入がなければ命に関わる状況であれば、そのリスクを十分に説明し、あらためて意向を確認することも必要です。

【訪問看護ステーションへの連絡】

主治医への連絡と並行して、あるいは指示を仰いだ後、所属の訪問看護ステーションにも連絡し、状況を報告します。これは、管理者への情報共有に加え、必要に応じて他の訪問看護師が精神的なサポートや今後の訪問調整、場合によっては移動手段の調整などで協力できるよう連携を取るためです。

4.応急処置と介護者への対応

療養者はもちろん、家族のフォローと情報の記録も訪問看護師の大切な仕事です。

【応急処置の実施】

主治医の指示や、自身の判断に基づき、適切な応急処置を行います(呼吸困難であれば体位を整える、意識障害があれば気道確保を行う、出血があれば止血するなど)。日頃から緊急時の対応シミュレーションを行い、冷静に行動できるよう準備しておくことが重要です。

【家族への説明と精神的サポート】

介護者には、現在の状況、行っている処置、今後の見通しなどを、分かりやすい言葉で丁寧に説明します。不安や動揺を抱えている介護者の気持ちに寄り添い、精神的なサポートも行います。「大丈夫ですよ」「私たちがついています」といった安心感を与える言葉をかけることも大切です。

【記録の徹底】

急変時の状況、実施した処置、連絡内容、主治医からの指示、介護者への説明内容など、すべてを詳細に記録に残します。これは、その後の医療連携や法的な側面からも非常に重要です。


memo「どこからが ひとり立ち?」

状況や訪問先によってさまざまだと思いますが、私は次のようなことができるようになったとき、訪問看護師として自信を持つことができました。

●訪問看護師の介入によって、療養者ができなかったことができるようになり、生活が改善された、数値が改善したなどの変化がみられたとき
●緊急時の対応ができるようになったとき

最初のころは、体温の数値だけで「発熱している」と判断してしまいがちでしたが、経験を積んだ今は、「いつもより顔色が悪いかな?」「服を着こみすぎている?」など、数値だけではなく環境や療養者の様子から判断ができるようになりました。


【出典】『看護技術の「不安」が「自信」に変わる!現場で役立つ!訪問看護のアイデア帖』著:星の砂

【書誌情報】
『看護技術の「不安」が「自信」に変わる!現場で役立つ!訪問看護のアイデア帖』
著:星の砂/監修:伊藤大介


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著者の星の砂さんは、自身が訪問看護師。Instagramフォロワー10万人。看護技術の「不安」が「自信」につながる情報を紹介しています。教科書では学べない看護現場で役立つスキルを中心に発信中で、子育て中のママナース。

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