なぜ多職種連携が欠かせないのか、知っておきたい訪問看護の現場とは【訪問看護のアイデア帖】

訪問看護のコミュニケーション「他職種・多職種との連携」
訪問看護の現場は、常にチーム戦です。1人の利用者の「その人らしい生活」を支えるには、私たち看護師の力だけでは不十分です。医師、ケアマネージャー、介護専門職、リハビリ専門職など、他職種(他職種)と1つのゴールを共有し、協力しあうことが不可欠です。
多職種・多機関連携の必要性
在宅医療・介護において、多職種・多機関連携はもはや不可欠です。療養者の在宅での療養生活は、たとえ介護者がいたとしても負担が大きく、また1人暮らしの療養者にとっては介護者不在の状況でいかに日常生活を維持していくかが大きな課題となります。
訪問看護師や医師、ケアマネジャーといった専門職が関わる時間は、生活全体のごく一部に過ぎません。療養者の生活を支え、その人らしい暮らしを実現するためには、医療・介護の専門職だけでなく、地域住民、行政、ボランティアなど多様な関係者との協働が不可欠です。
なぜ連携が必要なのか?
療養者の生活を多角的に支えることを目的としています。医療的ケアだけでなく、食事、入浴、排泄といった日常生活の支援、精神的なサポート、社会参加の促進など、療養者の生活は多岐にわたります。これらすべてを一職種や一機関で担うことは困難です。
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、ヘルパー、薬剤師、栄養士といった専門職に加え、民生委員、地域のボランティア、近隣住民、役場の担当者など、さまざまな立場の人がそれぞれの視点から支援を提供することで、包括的かつきめ細やかなケアが可能になります。
特に1人暮らしの療養者にとっては、生活全般の見守り、緊急時の対応、孤立防止のための地域とのつながりづくりが極めて重要であり、これには多方面からの連携が不可欠です。
介護者の負担軽減と精神的サポート
多くの在宅療養者を支えているのは家族などの介護者ですが、介護には身体的にも精神的にも大きな負担を伴います。多職種・多機関が連携し、それぞれの専門性を生かして介護者の悩みや困りごとに対応することで、負担を軽減し、精神的なサポートを提供できます。介護者が孤立しないよう、地域の社会資源や人とのつながりを活用した支援も重要です。
特に、介護者がいない1人暮らしの療養者については、日中の安否確認、服薬の管理、買い物のサポートなど、専門職や地域住民が連携して生活全般を支える体制が求められます。
医療と介護の切れ目のないサービス提供
療養者の状態は日々変化します。医療と介護の専門職だけでなく、地域の関係者とも密に情報共有し連携することで、変化に迅速に対応し、適切なサービスを途切れることなく提供できます。例えば、病状が悪化した際は医師と看護師が連携し、同時に介護保険サービスの見直しが必要な場合は、ケアマネジャーと連携するといった対応がスムーズに行えます。
近隣住民や民生委員による日常的な見守りが異変の早期発見につながることもあり、特に、1人暮らしの療養者にとっては生命線となり得ます。
療養者の望む生活の実現と地域での共生
療養者や介護者がどのような生活を望んでいるのかを共有し、それぞれの専門職、さらには地域住民や行政がその目標に向かって協働することで、療養者にとって質の高い、その人らしい在宅生活の実現をサポートできます。地域全体で支える意識を持つことが、療養者が地域の中で孤立せず、安心して暮らし続けられる環境を築くことにつながります。
介護の有無にかかわらず、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を目指す上で、多職種・多機関、そして地域住民の連携は不可欠です。
連携のポイント
多職種・多機関、そして地域全体がそれぞれの役割を発揮し、連携を深めることで、療養者(介護者の有無にかかわらず)が安心して在宅生活を送れるよう支援していきましょう。
情報共有の徹底
定期的なカンファレンスや連絡帳、ICTツールなどを活用し、療養者の状態やケア内容、介護者の状況、地域での見守り状況、1人暮らしの療養者の日々の変化などを、多職種・多機関間で密に共有することが重要です。
共通の目標設定
療養者や家族を含め、多職種・多機関間で共通のケア目標を設定し、それぞれの専門性や役割を生かして目標達成に向けて協力します。
役割の明確化と尊重
各専門職や地域の関係者の役割を明確にし、お互いの専門性や立場を尊重しながら協力体制を築きます。地域住民やボランティアの自発的な支援を尊重し、専門職がその活動をサポートする視点も重要です。
地域資源の活用とネットワーク構築
療養者のニーズに応じて、医療・介護サービスだけでなく、地域の社会資源(サロン、NPO、ボランティア団体など)や行政サービスを積極的に活用できるよう、日頃からネットワークを構築しておくことが望ましいです。特に1人暮らしの療養者にとっては、これらの地域資源が孤立を防ぎ、生活の質を向上させる上で重要な役割を果たすことがあります。
【出典】『看護技術の「不安」が「自信」に変わる!現場で役立つ!訪問看護のアイデア帖』著:星の砂
【書誌情報】
『看護技術の「不安」が「自信」に変わる!現場で役立つ!訪問看護のアイデア帖』
著:星の砂/監修:伊藤大介
知っていれば看護にもっと自信がつき、毎日の看護がもっと快適になる「看護ハック」を集めました。
個人のご自宅に訪問し、1人で対応することの多い訪問看護の現場の悩みを解消します。
目からウロコのテープ技術、在宅環境で使える道具や代替品紹介などの実用的な情報から他職種との連携のコツ、訪問看護師の働き方のリアルまで看護の現場で頻繁に遭遇するけれど教科書には載っていない超実用的な訪問看護のコツと知恵を紹介します。
著者の星の砂さんは、自身が訪問看護師。Instagramフォロワー10万人。看護技術の「不安」が「自信」につながる情報を紹介しています。教科書では学べない看護現場で役立つスキルを中心に発信中で、子育て中のママナース。
明日からすぐに使える「看護ハック」は看護が快適になり、自信を持ってケアができるようになるテクニックばかりです。
すでに訪問看護師として働かれているかたはもちろんこれから訪問看護師と働くことをご検討中のかたにもおすすめしたいかゆいところに手が届く一冊です。
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