『「マキコレ」ではじめる 一生つきあえるワインはどこにある?』刊行記念イベントレポート──もうワイン選びで迷わない!一生つきあえるワインは「マキコレ」にあり

今秋発売された『「マキコレ」ではじめる 一生つきあえるワインはどこにある?』(日本文芸社刊)の著者・金井麻紀子さんは、フランスの醸造責任資格を持つワインインポーター。マキコレワインは、自然農法に徹したブドウ畑の土壌作りから瓶詰めに至るまで、健全に育ったブドウのポテンシャルを引き出すドメーヌ* 限定です。そんな職人気質による “一生つきあえるワイン” の数々を金井さんのお話を伺いながら楽しむ刊行記念イベントが、12月13日(土)に「ビストロ 1 1 1 」(東京都千代田区)にて開催されました。*ドメーヌとは、自社畑のブドウのみを使い、栽培から醸造まで一貫して行う小規模生産者のこと

取材・文:小林由佳 協力/ビストロ 1 1 1 撮影/天野憲仁(日本文芸社) 

フランスワインの潮流は、エビデンス明確な自然派ワインへ

金井麻紀子さん。ワインインポーター、カーブかない屋社長。フランス・ボーヌの国立農業専門学校卒業後、フランス農林水産省が認める醸造責任者資格(BPREA)を取得。

今回のイベントに提供されたワインは、金井さんが美味に感銘を受け、現地を訪ねて農法や醸造も超本格的な自然派であると確信したラインナップ。そもそも、自然派ワイン(ヴァン・ナチュール)には国際的に統一された定義がないものの、「昨今のフランスワインは、原料となるブドウの低収穫、酸化防止剤不使用、または最小限の使用などが尊重されつつあります」と金井さん。

イベントを前に、カーブかない屋さんのスタッフによって丁寧に拭き上げられたグラスたちが整然と並びます。

「農法や醸造工程が曖昧なまま “自然派” をうたうワインは淘汰されつつあり、30年来マキコレワインが追求してきた “本当に美味しいワイン” の方向性に、ようやく時代がついてきたという印象です。マキコレワインは悪酔いしないとか、自然派という理由が明確で安心という声をいただいています」

乾杯に用意されたシャンパンのドメーヌは、1625年から続くブドウ畑を守り、現代は機械化が一般的なデゴルジュマン(澱抜き作業)も手作業で行なっているそうです。マキコレワインの看板ともいえるこのシャンパンは、爽やかな口当たりに深みのある余韻、乾杯に限らず食中酒にもおすすめとか。

NV グラン キュベ(シャンパーニュ・パトリス・マルク)で乾杯!

会場の参加者は、シャンパンと共にアミューズの白レバームースをひと口。芳しく柔らかな美酒に笑顔が広がります。各テーブルの会話も弾み、「高いワインでも酸化防止剤で悪酔いするから、外食時はマキコレワインを持ち込む」とか、「初めて飲んだワインがマキコレで、他のワインを試す気にならない」というマキコレファンの声も聞こえてきました。

続いてサーブされたミュスカデは、偶然の出会いだったとか。

「ロワール中の生産者を訪ね歩き、諦め半分で最後に行った生産者が集まるサロンでこの素晴らしいミュスカデを見つけました。小さなドメーヌなので数量限定ですが、果実味とミネラル感が程よい厚みで雑味がなく、個性の強い魚介料理にも合います」

大量生産できないクラシックな醸造を今も続けるこのドメーヌは、“何もしないこと” をワイン作りのモットーに、極めて自然に近いブドウ畑、伝統的な搾り機を使って自然な発酵を促すという超自然派なのだとか。その風貌から “モジャモジャさん” と金井さんが紹介するドメーヌの当主にも親近感が沸きます。

2023ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー(ドメーヌ・ド・ラ・ペリエール/サジュ・ラ・ペリエール)。ミネラル感のインパクトは鮮魚のマリネと相性良し。時間の経過で白い花のアロマが膨らむ。

フランス人気質ゆえ? 職人気質のワイン生産者は “ひと握り”

フランス人は、日本人のように真面目に働く人が少ない印象だという金井さん。

「ワイン生産者も、すべてがワイン作りに精通しているとは限りません。ワイナリーの当主は、農作業や醸造を人任せにしているところが多いんです」

そして雇われた側もいかに仕事をサボるかを考えているという裏話を聞いて、会場に笑いが起こります。

「でもブドウの状態や見極めがワインの99%を決めるので、本当に美味しいワインを追求するなら、当主自ら栽培や醸造に携わらなければ難しいと思います。家族経営や限られた人員で、ブドウ栽培から醸造、瓶詰めまですべて行うドメーヌのワイン作りは、苦行そのものです」

2022 アルザス ピノ・ノワール・レッツェンベルグ(ドメーヌ・ヴァンサン・フライト)/ボトル左。近年、アルザスでもしっかりとしたピノ・ノワールが生産できることを象徴するワイン。豊かな果実味と和牛のカルパッチョの旨みの好相性が食欲をそそります 。
シャンパン、白と続き、ヴァンサン・フライトのピノ・ノワールが供されます。

マキコレワインが誕生してから、生産者の紹介を積極的に発信してきたという金井さん。試飲会もそのひとつですが、マキコレワインの美味を裏付ける生産者の個性や熱意は、新書にも詳細に語られています。刊行記念イベントとはいえ、当日の試飲に用意されたのはなんと10銘柄! 超本格的自然派ワインならではの豊かな口福、ゆっくりと染みわたる心地良さとともに、金井さんの熱い想いが伝わりました。


刊行記念イベント『「マキコレ」ではじめる 一生つきあえるワインはどこにある?』 
ワインリスト
●シャンパーニュ・パトリス・マルク〈シャンパーニュ地方〉
NV グラン・キュヴェ 

●ドメーヌ・ド・ラ・ペリエール/サジェ・ラ・ペリエール〈アルザス地方〉
2023 ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー

●オー・ペロン〈ロワール地方〉
2023 シュノンソー・ブラン

●ドメーヌ・イザベル・エ・デニ・ポミエ〈ブルゴーニュ地方〉
2021 シャブリ プルミエ・クリュ トロエム

●ドメーヌ・フォラン・アルベレ〈ブルゴーニュ地方〉
2021 ぺルナン・ヴェルジュレス プルミエ・クリュ オンカラドゥー

●ドメーヌ・ヴァンサン・フライト〈アルザス地方〉
2022 ピノ・ノワール・レッツェンベルグ

●ドメーヌ・ビヤー・ペール・エ・フィス〈ブルゴーニュ地方〉
2021 ボーヌ プルミエ・クリュ レ・シュワシュー

●ドメーヌ・ミュサン〈ローヌ地方〉
2021 サン・ジョセフ ルージュ

●ドメーヌ・プレッシー・マッソン〈ローヌ地方〉
2021 ラストー ポール・エミール

●ドメーヌ・ジャン=マルク・ポワイヨ〈ブルゴーニュ地方〉
2017 ポマール プルミエ・クリュ レ・ジャロリエール

料理リスト
●白レバーのムース キャトルエピスの香り
●鮮魚のマリネ 柑橘とハーブのサラダ
●豊洲直送の魚 ブールブランソース
●和牛のカルパッチョ仕立て パルメザンチーズ
●クラシックボロネーゼ
●牛頰肉の煮込み クミン香る人参のピューレ
●濃厚ひとくちガトーショコラ

イベントにて振る舞われたワインの数々。

【本記事の取材・文】
小林由佳(こばやし・ゆか)
フリーランスライター・編集者。企画ディレクションからインタビュー取材までを手がけ、ジャンルを問わず幅広いコンテンツ制作に携わる。
 

【書誌情報】
『「マキコレ」ではじめる 一生つきあえるワインはどこにある?』
著:金井麻紀子


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